eぶらあぼ 2021.1月号
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110CDCDCDThe Water is Wide―イギリス愛唱歌集―/辻裕久&なかにしあかねサクバットの舞/宮下宣子&高本一郎ベートーヴェン:交響曲第7番 他/ホーネック&紀尾井ホール室内管雙―so―/藤原道山サリー・ガーデン、広い河の岸辺、夏の名残の薔薇(庭の千草)、アメイジング・グレイス/H.ビショップ:ホーム・スイート・ホーム(埴生の宿)/C.コンヴァース:いつくしみ深き/H.ガントレット:ダビデの町に/L.メイソン:もろびとこぞりて/メンデルスゾーン:天には栄え 他辻裕久(テノール)なかにしあかね(ピアノ/編曲)J.S.バッハ:無伴奏フルート・パルティータより/コレッリ:12のヴァイオリン・ソナタ集ソナタ第5番/オ・カロラン(高本一郎編):小さな妖精と大きな妖精/マレ:ヴィオール曲集第5巻 組曲第6番より/オルティス:マドリガーレ「幸せなわが眼よ」によるレセルカーダ第2番、レセルカーダ第1番「パッサメッツォ・アンティコ」 他宮下宣子(サクバット)高本一郎(リュート)モーツァルト:交響曲第25番/ベートーヴェン:交響曲第7番、ロマンス第1番ライナー・ホーネック(指揮/ヴァイオリン)紀尾井ホール室内管弦楽団藤原道三:曙光/小原孝:KEEP A DISTANCE/榊原大:あおぞら/国府弘子:Bamboo Nest/村松崇継:Blowin’ in the wind/木住野佳子:風花雪月/千住明:浄夜/Keiko:Stillness and Motion/妹尾武:Cicada~夏の記憶~ 他藤原道三(尺八)Keiko(ピアノ)山中惇史(ピアノ) 他コジマ録音ALCD-7250 ¥2800+税レック・ラボNIKU-9030 ¥2500+税収録:2019年4月&2020年2月、紀尾井ホール(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCL-00738 ¥3000+税日本コロムビアCOCQ-85515 ¥3200+税アルバムタイトルに“The”を冠したくなるような、これぞ文字通りの「イギリス愛唱歌集」。〈サリー・ガーデン〉や〈夏の名残の薔薇(庭の千草)〉、〈アメイジング・グレイス〉など全23曲を収録、おそらく誰もが何らかの形で耳にしたことのあるメロディばかりだろう。それゆえ聴き手としてはともすると安易な抒情に流される可能性があるのだが、演じるは百戦錬磨のイギリス歌曲の達人、辻裕久となかにしあかね故どの曲も手垢にまみれていない清新な歌・演奏とアレンジが横溢。なかにしによるライナーノーツは曲の起源・由来を簡明かつ的確に記述、非常に興味深くためになる。 (藤原 聡)新日本フィルに約40年間在籍した女性金管奏者のパイオニア・宮下宣子が、トロンボーンの前身サクバットで挑んだ新たな音楽世界。日本における当楽器の第一人者たる彼女が無伴奏で、あるいは多様な活躍をみせるリュート奏者・高本一郎とコラボして、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバの作品を奏でた、意欲的なディスクである。バッハの無伴奏フルート・パルティータの妙技をはじめ、サクバットの音の魅力と楽器の可能性を示す演奏が続き、リュートとのデュオでは古雅にして新鮮な感触がもたらされる。途中に挟まれるリュート・ソロも佳き風情。   (柴田克彦)紀尾井ホール室内管の演奏には、首席指揮者ホーネックが拠点としているウィーンの香りが漂っている。堂々とした歩みで、あくまでも正攻法を貫く。弦のサウンドは独特な艶を帯び、管楽器の一吹きもノーブルな気品を纏っていて、まるで保守本流とは我々のこと、と言いたげですらある。現代的な新しさはなくとも、こうした安心して聴けるぶれない音楽には常に変わらぬ需要があるものだ。本盤のモーツァルトとベートーヴェンの交響曲は、まさに紀尾井のウィーンらしさを味わうにはド直球な曲目で、名刺代わりともいうべき仕上がり。「ロマンス」ではホーネック自身もその妙技を披露している。(江藤光紀)デビュー20周年を迎えた、第一人者による記念アルバム。西洋楽器の代表ともいえるピアノとのデュオ(雙)で現代尺八の「ニュースタンダード」作品集を目指すべく、日本を代表する作曲家11人の書き下ろしと自作曲とで構成された豪華な意欲盤。小原孝や榊原大といった名手から、国府弘子や木住野佳子らジャズ界の姐御たちなどそうそうたる顔ぶれのなか、(本人以外で)尺八のソロから始まる村松崇継の「Blowin’ in the wind」とKeikoの「Stillness and Motion」は特に印象的。最後を締める「KOBUDO-古武道-」でお馴染み盟友・妹尾武の「Cicada~夏の記憶~」も泣かせる。(東端哲也)CD

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