eぶらあぼ 2020.12月号
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44東京六人組グルーヴ感あふれるピアノと管の超絶アンサンブル文:藤原 聡12/9(水)19:00 めぐろパーシモンホール問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904https://www.persimmon.or.jp 「六人組」と聞いてまず思い出すのはもはやフランスではなく東京? というほどに日増しに存在感を強める東京六人組。上野由恵(フルート)、荒絵理子(オーボエ)、金子平(クラリネット)、福士マリ子(ファゴット)、福川伸陽(ホルン)、三浦友理枝(ピアノ)によって2015年に結成、今や定期的なコンサートとオクタヴィア・レコードからリリースされている3枚のCDで、その類まれなる技巧による圧倒的な「グルーヴ感」は多くのファンの知るところとなった。 ここに紹介するめぐろパーシモンホールでのコンサートはもともと5月に開催される予定だったもの。しかしコロナ禍によって延期となりこの12月9日の実施が決定されたのだが、プログラムがまた実に興味深い。ブラームスのハンガリー舞曲の六重奏アレンジ版、元N響の首席クラリネット奏者で作曲家としても活躍する磯部周平の「きらきら星変装曲」はモーツァルトの有名な主題がシェーンベルク風、バルトーク風、シューマン風、ブラームス風、ベートーヴェン風、バッハ風に料理されて出現(だから変“装”曲)、そしてシェーンベルクの管弦楽編曲でも有名なブラームスのピアノ四重奏曲第1番をアメリカの大フルーティストであるサミュエル・バロンがピアノと木管五重奏にアレンジしたバージョン。実に攻めているではないか。管楽器ファンのみならず多くのクラシック・ファンにぜひ聴いていただきたいコンサートだ。後列左より:福川伸陽、荒 絵理子、金子 平   前列左より:上野由恵、三浦友理枝、福士マリ子「アートにエールを! 東京プロジェクト」支援企画藤倉 大、イェルク・ヴィトマン、ベートーヴェン!過去と現代の“最先端”に挑む俊英たちのステージ文:笹田和人12/21(月)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com いま苦境のさなかにある、クラシック音楽界。蔓延したコロナの影響により、多くのステージが中止や延期となるなか、3月にトッパンホールで予定されていた、ドイツの名クラリネット奏者で作曲家でもあるイェルク・ヴィトマンの公演もキャンセルに。しかし、「折々の時代の最先端を疾走する作品の数々を、ぜひ聴いてほしい」と、気鋭の若手奏者たちが、ヴィトマンと藤倉大の作品に、生誕250年のベートーヴェンの傑作を配した意欲的なプログラムを同ホールで披露する。 2002年にジュネーヴ国際音楽コンクール、翌年にリーズ国際ピアノコンクールでともに第3位入賞を果たしたピアノの大崎結真は、20代前半の青年作曲家の瑞々しい才気を感じさせる第1番と、自身の作風を確立した中期の傑作である第23番「熱情」、ともに創意と野心に満ち、作曲当時の聴衆へ衝撃を与えたベートーヴェンの2つのソナタを弾き、プログラムの大枠に。さらに、若き日の藤倉が書いた意欲作「Frozen Heat」(1998)も取り上げる。2017年エリーザベト王妃国際音楽コンクール第2位入賞のチェロの岡本侑也は、藤倉がトッパンホールの委嘱に応えて作曲した佳品「osm~無伴奏チェロのための」(2015)を弾く。そして、ヴァイオリンの篠原悠那を擁するカルテット・アマービレはヴィトマンの弦楽四重奏曲第3番「狩」を、さらに篠原のソロで「ヴァイオリン独奏のためのエチュード第3番」に挑む。 作曲された時代の感性を切り取った“最先端”の楽曲が、俊英たちの瑞々しい才能と鮮烈なサウンドにより、新たな翼を得る。左より:大崎結真/岡本侑也 ©Shigeto Imura/カルテット・アマービレ ©T.Tairadate

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