eぶらあぼ 2020.12月号
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39高関 健(指揮) 静岡交響楽団楽団のポテンシャルを引き出したマエストロとの初の東京公演文:山田治生第100回 定期演奏会 12/19(土)14:00 静岡市清水文化会館マリナート三島公演 12/20(日)15:00 三島市民文化会館東京特別公演 12/21(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 静岡交響楽団054-203-6578 https://www.shizukyo.or.jp 静岡交響楽団は、12月19日に第100回定期演奏会を本拠地、静岡市清水文化会館マリナートで祝い、20日の三島公演を経て、21日に初めての東京公演を東京オペラシティ コンサートホールで開催する。それらの記念すべき演奏会の指揮を執るのは同楽団のミュージック・アドヴァイザーを務める高関健。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とベルリオーズの「幻想交響曲」が披露される。 「静響」の愛称で親しまれている静岡交響楽団は、1988年に「静岡室内管弦楽団“カペレ・シズオカ”」として設立された。94年、静岡交響楽団に改称。音楽監督に堤俊作が就任。2008年には日本オーケストラ連盟の準会員となる。15年から18年まで篠﨑靖男が常任指揮者を務めた。18年、高関健がミュージック・アドヴァイザーに就任。静岡県内唯一の常設プロ・オーケストラとして積極的な演奏活動を行っている。 「幻想交響曲」はオーケストラの実力が端的に示される作品だけに、静響を知るのに適した選曲といえよう。オーケストラ・ビルダーとしての評価が高い高関が、静響の能力を最大限に引き出すに違いない。そして、作品の標題性をリアルに描き、ベルリオーズの前衛性を際立たせるであろう。また、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲で独奏を務めるのは神尾真由子。2007年のチャイコフスキー国際コンクールでの優勝を経て、近年、進境著しい彼女がどんなベートーヴェンを聴かせてくれるのかとても楽しみである。クラシック・ヨコハマ 生きる ~2020 X’mas 若い命を支えるコンサートベテランとフレッシュな若手たちが音楽でエールを送る文:笹田和人12/18(金)19:00 横浜みなとみらいホール問 毎日新聞社事業本部03-3212-0187 https://yokohama.mainichi-classic.net 第一線の演奏家による名演を通じ、小児がんと闘う子どもたちを支援しようと開かれている「クラシック・ヨコハマ 生きる~若い命を支えるコンサート~」。聖夜を前に開かれる今回は、「2020 X’mas 若い命を支えるコンサート」と題し、チェロの山崎伸子やピアノの小林愛実らが、田中祐子指揮の神奈川フィルハーモニー管弦楽団とともに、名協奏曲を弾く。 毎日新聞社が1996年から続けている「生きる」は、様々なイベントやコンサートを通じて、小児がんへの理解と協力を訴えるキャンペーン。その趣旨を引き継ぎ、若手音楽家に演奏機会を提供する音楽イベント「クラシック・ヨコハマ」の一環として、「若い命を支えるコンサート」を2007年度からスタートさせた。 13回目となる今回、日本を代表する名手として、国際的に活躍する山崎が登場し、エルガーの協奏曲を披露。エネルギッシュな一方、濃厚なロマンティシズムと透明感を併せ持つ傑作は、「生きる」というテーマにいかにも相応しい。そして、2015年にショパン国際ピアノコンクールでファイナリストとなった気鋭の小林は、ショパンの協奏曲第1番で繊細な感性を聴かせてくれるに違いない。 また、その年の全日本学生音楽コンクールで入賞した俊英たちもソリストとして出演し、病気と闘う同世代へ向けて、力強い励ましのメッセージを送るのも、このコンサートの恒例に。今年は、どんな新たな才能が瑞々しい演奏を聴かせてくれるのか。楽しみにしつつ、横浜みなとみらいホールへと足を運びたい。田中祐子 ©sajihideyasu神尾真由子 ©Makoto Kamiya高関 健小林愛実 ©Karine Grace山崎伸子 ©武藤 章

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