eぶらあぼ 2020.11月号
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47渋谷区文化総合センター大和田 開館10周年記念さくらホールコンサート “Don’t Stop The Music”若き音楽家たちの放つエネルギーがステージを熱くする文:飯尾洋一11/21(土)17:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール 11/6(金)発売問 渋谷区文化総合センター大和田03-3464-3252 https://www.shibu-cul.jp 渋谷区文化総合センター大和田が開館10周年を記念して、開館日にあたる11月21日、同館のさくらホールにて「“Don’t Stop The Music” 一夜限りの若者たちの祭典」と銘打った公演を開く。ロン=ティボー=クレスパン国際コンクール第3位を獲得して幅広く活躍を続けるピアニスト、實川風をはじめ、同館ゆかりの若い音楽家たちが一堂に集結する。 今回の公演のために結成されるのが大和田祝祭管弦楽団。大和田ランチタイムコンサート出演者およびウィーン=ベルリン ブラス・クインテット「若手演奏家のための公開マスタークラス」受講生をはじめとするメンバーで構成される。コンサートマスターを務めるのは林周雅。佐渡裕率いるスーパーキッズ・オーケーストラにて2年間コンサートマスターを務めたほか、最近ではテレビ朝日『題名のない音楽会』の番組内オーディションで葉加瀬太郎のツアーメンバーに選ばれて話題を呼んだ。指揮は米田覚士。オーディションで選出されてパーヴォ・ヤルヴィのマスタークラスを受講するなど、将来を嘱望される新鋭である。 プログラムはプロコフィエフの「古典交響曲」、コープランドの「静かな都会」(トランペット:髙松圭佑、コールアングレ:倉澤唯子)、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」(ピアノ:實川風)。停滞を余儀なくされた音楽界にあって、若い才能たちの活躍ほど希望をもたらしてくれるものはない。のびのびとした勢いのある演奏を期待したい。浜松国際ピアノコンクール出場者たちのピアノ・フェスティバルフレッシュな6人が飛躍の地で繰り広げる2台ピアノの競演文:高坂はる香12/27(日)14:00 アクトシティ浜松(中)問 浜松市文化振興財団053-451-1114 https://www.hipic.jp 2018年、第10回浜松国際ピアノコンクールのステージで活躍し、それぞれに鮮やかな印象を残した6人のピアニストたちが集うピアノ・フェスティバルが、アクトシティ浜松中ホールで開催される。3組のペアが、2台ピアノによる演奏を披露。若いピアニストたちのアンサンブルの喜びを、客席も一緒に分かち合うような、年の瀬にふさわしい祝祭感あふれる企画だ。 太田糸音 × 田母神夕南は、ラヴェルとチャイコフスキーという華やかなプログラム。しなやかで力強い二人の音を存分に生かした、この日唯一の女性ペアらしい演奏に期待できそう。 安並貴史 × 佐川和冴は、2台ピアノの定番であるモーツァルトのソナタに加え、20世紀ポーランドのルトスワフスキ、安並が力を注ぐドホナーニという、彼ららしいプログラム。1組目とは対極的な、男らしさのようなものを感じるステージになりそうだ。 そして、東京藝術大学附属高校時代からの付き合いで、ともにドイツのライプツィヒで学ぶ、今田篤 × 兼重稔宏ペア。これまでにもたびたびデュオ公演を行っている二人は、ベートーヴェン「第九」のリスト編曲版を演奏する。合唱の公演が開催しづらい今年、息の合ったデュオで年末の風物詩を聴くことができる。 海外との行き来が困難になるという、思いもよらない事態が襲った2020年の締めくくり。しかし日本には、これほどたくさんの若くすばらしいピアニストがいるということを、改めて実感するコンサートとなりそうだ。左より:太田糸音 ©T.Tairadate/田母神夕南/安並貴史/佐川和冴/今田 篤 ©Vita Pictures/兼重稔宏實川 風 ©Hiromi Nagatomo米田覚士

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