42五島記念文化賞 オペラ新人賞研修成果発表 山本康寛 テノールリサイタル11/27(金)19:00 Hakuju Hall問 日本オペラ振興会チケットセンター03-6721-0874 https://www.jof.or.jp12/5(土)14:00 びわ湖ホール 10/31(土)発売問 びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jpひょんなことから「ハイC」開花 2015年、藤原歌劇団のロッシーニ《ランスへの旅》伯爵役で大成功し、「ベルカント・オペラの新星」と注目を集めた山本康寛。超高音を楽々と放ち、声の技もジェットコースターのように勢い良く、いまや引く手あまたの存在だが、大学時代に話を向けると、芸人のヒロシにも似た遠い目で、「テノールなのに高音が出ず、将来のない誰の目にも留まらぬ学生でした」と呟いたから不思議。ならばどうやって今のポジションに? 「愛知県の岡崎市で育ち、中学で吹奏楽部に入りましたが、顧問の先生が『君は歌にも向いているかもしれないね』と言ってくださり、それが音大を目指すきっかけになりました。京都市立芸大でテノールの北村敏則先生に師事しましたが、当時は高いA(ラ)を出すのがやっと(笑)。だから『オペラはとても無理』と思っていて、北村先生からも、僕の音域に収まる歌曲やオラトリオをレッスンしてもらいました」 ところが、ある瞬間から状況は激変。 「大学院の浪人時代に、友達と遊びで『全然違う声のタイプ』の歌手の歌い方を真似してみることになり、僕は声の厚いジュゼッペ・ジャコミーニを真似してみたら、なぜかいきなりハイC(ド)まで届き・・・そこから世界が変わりました。大学院では引き続き北村先生に教わり、好きなロッシーニのオペラも勉強し始め、卒業後はびわ湖ホールの声楽アンサンブルに所属しました」 そのびわ湖ホールでも幸運な出会いが。 「2009年に日本語訳詞で《魔笛》が上演されたとき、空き時間を使って、ホールのシャワー室でロッシーニの《セミラーミデ》のアリアを自習していたんです。すると突然ノックがあって、指揮者の園田隆一郎さんから『それ、ロッシーニだよね?』と呼びかけられまして。園田さんがロッシーニのスペシャリストだとは迂闊にも知らなかった(笑)。園田さんは、歌い手と同じ部分で表現を悩んでくださるマエストロ。今回のステージでもピアノをお願いできて嬉しいです」ベルカント・オペラの至難のナンバーを集めたプログラム 11月はHakuju Hall、12月はびわ湖ホール。もちろん、ベルカントの名曲を並べて。 「五島記念文化財団の奨学生としてイタリアに留学した際、ウィリアム・マッテウッツィ先生からロッシーニの《オリィ伯爵》をぜひにと勧められたので、Hakuju Hallでは光岡暁恵さんに、びわ湖ホールでは森谷真理さんというお二人のソプラノに賛助出演いただいて二重唱〈ああ、どれほどの敬愛を〉を取り上げて、《セビリアの理髪師》のアリア〈もう逆らうのをやめろ〉などを歌います。ほかに、ベッリーニの歌曲〈追憶〉やドニゼッティの《連隊の娘》から〈ああ友よ! なんと楽しい日〉もプログラムに入れましたが、来年9月、藤原歌劇団の《清教徒》にアルトゥーロ役で出演が決まったので、そこからも1曲歌えればと準備中です!」 かくして、いまの山本は未来の豊かな存在に。 「今年1月に上演された《紅天女》の仏師・一真など、日本語オペラの舞台も踏めるようになりました・・・北村先生が日本語も鮮明に発音される方で、先生の教えも守りながら日々励んでいます。いろいろな機会をいただけて有難いです。まずは東京、そしてびわ湖でご来場をお待ちしています!」山本康寛(テノール)ロッシーニで輝く人気テノールが得意のナンバーを披露取材・文:岸 純信(オペラ研究家)Interview
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