eぶらあぼ 2020.11月号
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104CDCDブラームス:交響曲第2番&第3番/尾高忠明&大阪フィルJ.S.バッハ:チェンバロ協奏曲全集 Vol.1/渡邊順生&The Baroque Band笑顔で会える日のために~あなたに寄り添うピアノ作品集/辻井伸行シャコンヌ/チェロ・クァルテットKブラームス:交響曲第2番・第3番尾高忠明(指揮)大阪フィルハーモニー交響楽団J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲第1番・第6番・第2番・第5番、2台のチェンバロのための協奏曲第2番、3台のチェンバロのための協奏曲第1番・第2番、フルート ヴァイオリン チェンバロのための三重協奏曲イ短調渡邊順生 渡邊孝 崎川晶子 鴨川華子(以上チェンバロ)The Baroque Band辻井伸行:笑顔で会える日のために/ドビュッシー:夢/ショパン:ノクターン第20番「遺作」/ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 第18変奏/久石譲:The Dream of the Lambs/菅野よう子:RAY OF WATER piano solo main theme 他辻井伸行(ピアノ) ヴァシリー・ペトレンコ(指揮) ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団 他J.S.バッハ:シャコンヌ(L.ヴァルガ編)、G線上のアリア(W.トーマス=ミフネ編)/ラヴェル(W.バーテル編):亡き王女のためのパヴァーヌ/バーバー:弦楽のためのアダージョ/クズネツォフ:組曲チェロ・クァルテットK【安田謙一郎 藤村俊介 宮坂拡志 木越洋(以上チェロ)】収録:2019年9月&10月、ザ・シンフォニーホール(ライブ)オクタヴィア・レコードOVCL-00736 ¥3200+税コジマ録音ALCD-1197,1198(2枚組) ¥3400+税エイベックス・クラシックスAVCL-84111 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-4081 ¥3000+税昨年9月、10月に行われたザ・シンフォニーホールでのライブ。ブラームス・チクルスの実演を聴き、批評も書いたが、このCDは格別の出来である。尾高の丁寧な造形と彫琢が随所で光っている。交響曲第2番はまず、しなやかな弦の響きが美しい。ホルンや木管が交錯する響きの変化も豊かだ。緩徐楽章のチェロ、舞曲楽章のオーボエやクラリネット、フィナーレの推進力と追込みなど、特筆に値する。第3番は頂点でうねる冒頭楽章、木管のひなびた響きの緩徐楽章、繊細な美が移ろうワルツ、躍動感がはち切れんばかりの終楽章と、実に聴き応えがある。   (横原千史)歴史的鍵盤楽器の名匠・渡邊順生が、実力派の古楽アンサンブルと臨んだ、大バッハのチェンバロ協奏曲全集の第1集。堅固な構築美と艶やかな歌心を両立する一方、気鋭のソリストたちと“競演”する、複数楽器のための協奏曲では、饒舌かつしなやかな会話を楽しむ雰囲気も。バックの面々も、渡邊の音楽創りの意図を丹念に掬い取ってゆく。また、通奏低音の鍵盤楽器には、金属線の代わりにガット弦が張られたチェンバロ=ラウテンクラヴィーアを使用。バッハの遺品目録にも記載されている楽器で、リュートに似た柔らかな音色が、ソロ声部との理想的なバランスを生み出す。 (笹田和人)純白の世界。だれよりもピアノの清らかな美しさを引き出す辻井伸行が、コロナ禍の時代に、すべてのひとに「寄り添う」アルバムを編んだ。クラシック作品はメロウな名品ばかりが選ばれ、弱音のタッチの繊細さが実にすばらしく、豊かな残響までとらえた録音も相まって、なによりの癒しの時間になる。さらに、邪念のかけらもない辻井自身の楽曲に、ミニマル音楽とジブリ系の両面を楽しめるような久石譲、雄大な感動を誘う菅野よう子、それぞれの近作が豊穣な広がりを与えてくれる。不安の途切れない時代、まっすぐに聴くひとに「寄り添ってくれる」辻井の存在は、ますます貴重になる。(林 昌英)大御所安田謙一郎を中心に、現N響のメンバーである藤村俊介と宮坂拡志、そしてベテランの木越洋で結成されたチェロ・クァルテットKのデビュー盤。第1チェロを安田、そして最低声を木越がガッチリと取り囲み、その中で藤村と宮坂が自由に泳いでいるような趣、自在さと統一感を兼備した素晴らしいアンサンブルだ。本アルバムで最高の聴きものは珍しいクズネツォフの組曲だろう。5楽章構成で楽想の点からもチャイコフスキーの弦楽セレナードを連想させる。多彩な響きを引き出したラヴェル、原曲のイメージを刷新するようなアレンジが秀逸なシャコンヌも演奏ともども見事。(藤原 聡)SACDCD

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