eぶらあぼ 2020.10月号
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31飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団レジェンドと未来を拓く新鋭の共演文:山田治生第339回 定期演奏会 2021.1/29(金)19:00 サントリーホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp 東京シティ・フィルは2021年1月から定期演奏会をサントリーホールで開催する。その最初のコンサートに、桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎が登場し、チャイコフスキーの交響曲第5番などを取り上げる。飯守といえば、ドイツ音楽を十八番としているが、チャイコフスキーやドヴォルザークなどのスラヴ音楽にも定評がある。とりわけチャイコフスキーは、東京シティ・フィルと(1997年から務めていた常任指揮者としての最後のシーズンだった)2011年から12年にかけて交響曲の全曲演奏を行い、それらは交響曲全集としてCD化されている。あれから約10年を経て、ますます円熟味を増す飯守が、長年にわたってコラボレーションを重ねてきた東京シティ・フィルとどのようなチャイコフスキーの交響曲第5番を聴かせてくれるのか、とても楽しみである。 また、演奏会の前半では、新進気鋭のピアニスト、亀井聖矢の登場に注目。亀井は、愛知県立明和高校音楽科2年修了後、飛び入学特待生として桐朋学園大学に入学。昨年の日本音楽コンクール・ピアノ部門およびピティナ・ピアノコンペティション特級に17歳(大学1年)で優勝した俊英である。日本音楽コンクールとピティナ・ピアノコンペティションのファイナルではともにサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」を演奏した個性派。「最近はショパンに惹かれる」という亀井が、ショパンのピアノ協奏曲第1番でも才気あふれる演奏を聴かせてくれるに違いない。ミーツ・ベートーヴェンシリーズ Vol.3 山下洋輔(ピアノ)ジャズ界の鬼才が楽聖をトリビュート、オマージュ曲も!文:小室敬幸10/16(金)19:00 東京芸術劇場コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 https://www.geigeki.jp これまでも自身のスペシャル・ビッグバンド(アレンジャーはトロンボーン奏者の松本治)でクラシック音楽の大胆アレンジを聴かせてきた山下洋輔が、今度はアニヴァーサリーをむかえた楽聖ベートーヴェンをトリビュート!? しかもこの企画は、35年前にバッハの生誕300年記念の公演をおこなっていた山下に、東京芸術劇場から企画を持ちかけたもの。面白がった山下が快諾して、本公演は生まれた。 山下は日本を代表するジャズ・ピアニストとして知られるが、もともとは国立音楽大学の作曲科卒。なんと1曲目に演奏されるピアノ・ソナタ第6番ヘ長調第1楽章は、山下が大学受験の副科ピアノ試験で弾いた楽曲なのだ(演奏は約60年ぶり!?)。続けて、ピアノソロで「悲愴」第2楽章や「エリーゼのために」が山下のアレンジと即興を交えて演奏され、後半にはパーカッショニスト八尋知洋とヴァイオリニスト・マレー(金子)飛鳥が率いる弦楽四重奏が曲によって出入りしつつ、「月光」第1楽章、「第九」第2楽章、「運命」第1楽章を披露する。これまでも人気ジャズ・ピアニストの山中千尋が「エリーゼのために」「運命」などをジャズ化してきたが、山下はどのように料理してくるのか興味は尽きない。そしてコンサートを締めくくるのは、山下が書き下ろすベートーヴェンへのオマージュ曲。78歳を迎えたジャズ界の巨匠が、音楽史に革命を起こしたベートーヴェンと真摯にむきあった時、どんな新しい音楽が生まれるのだろうか!亀井聖矢 ©山田 翔飯守泰次郎 ©金子 力山下洋輔 ©Akihiko Sonoda八尋知洋マレー(金子)飛鳥

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