34トリオ・リベルタ in Bunkyo猛者たちの20年の歩みを凝縮した一夜文:オヤマダアツシ10/5(月)19:00 文京シビックホール 8/23(日)発売問 シビックチケット03-5803-1111 https://www.b-academy.jp※振替公演のため、3月号掲載の記事を一部改変のうえ再掲しました。 トリオ・リベルタというグループ名を目にして、アストル・ピアソラの名曲「リベルタンゴ」を思い出していただけると手っ取り早い。今年で結成20年。アグレッシブ&官能美あふれるこのトリオは、ピアソラのナンバーを軸に演奏するアンサンブルとして2000年に結成されているからだ。 神奈川フィルの首席ソロ・コンサートマスターや、自身の弦楽アンサンブル「石田組」等の多彩な活動がアツい石田泰尚、優れたアンサンブル・ピアニストでありながら心惹かれる声でヴォーカリストも務める中岡太志、クラシックを軸にさまざまなジャンルの音楽へと命を吹き込むサクソフォンの松原孝政。この3人が20年間で構築してきたレパートリーは、タンゴのみでも70曲に迫り(うちピアソラが半分以上を占める!)、ジャズ、ワールド・ミュージック、クラシック、映画音楽など実に多種多様。アグレッシブなリズムとやや愁いのあるメロディが似合う初秋の10月5日、東京・文京シビックホールで行われるライブは、その中からエッセンスをギュッと絞ってさらに濃厚な味わいに仕上げたようなコンサートだ。 予定されている曲はモーツァルト、ラフマニノフ、ガーシュウィン、ピアソラ、映画『ピンク・パンサー』のテーマ、ラテンやタンゴの名曲など。結成20周年をみんなで祝うスペシャル・ナイトは、音楽の素晴らしさを心から感じられるひとときになるだろう。左より:中岡太志、松原孝政、石田泰尚古典四重奏団 ムズカシイはおもしろい!! ベートーヴェンの時代 2020創意あふれる初期の傑作群を独自の視点で文:藤原 聡その1の昼 9/22(火・祝)14:00 その1の夜 9/24(木)19:00その2の昼 10/25(日)14:00 その2の夜 10/28(水)19:00近江楽堂(東京オペラシティ3F)問 ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 https://www.bflat-mp.com 思えば古典四重奏団の「ムズカシイはおもしろい!!」シリーズが2010年にスタートしてから今年で10年。その記念すべき第1回目で演奏されたのはベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲(いきなり!)だったように記憶するが、生誕250年ということはあるだろう、最新のコンサートもまたベートーヴェン。今回は初期の作品18全6曲を取り上げる。 この作曲家の中期と後期の四重奏曲は言うまでもなくその個性が全面的に開陳された傑作だけれども、モーツァルトやハイドンら先人の影響は明白ながら、形式や楽想の点ですでに独自の工夫が認められるのが作品18。後年の作品ほどの人気はないかもしれないが、聴けば聴くほどに味のある作品群である。これを古典四重奏団がいつものようにレクチャー付きの形式で取り上げてくれるのは誠にありがたい限り。「その1」と「その2」で3曲ずつの2回構成、さらにそれぞれ同一内容で昼と夜に開催されるので時間を取りにくいファンも行きやすいだろう(開催日は別日)。 この団体の『ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲全集』が2019年度のレコード・アカデミー賞大賞を獲得したのは未だ記憶に新しい。どんな作品を演奏してもそこに潜む革新性や肝となる本質的な要素を確実にトレースする古典四重奏団の演奏は、ともすると軽視されがちな作品18の新しさと面白さを必ずや聴き手に感知させてくれるに違いなく、これは聴き逃せないコンサートとなりそうだ。手前:川原千真 左:三輪真樹 右:花崎淳生 奥:田崎瑞博©F.Fujimoto
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