22佐藤美枝子のオペラ「蝶々夫人」ハイライト9/12(土)15:00 やまと芸術文化ホール(大和市文化創造拠点シリウス内)問 やまと芸術文化ホール046-263-3806 https://www.yamato-bunka.jp/hall/佐藤美枝子(ソプラノ)& 服部容子(音楽監督/ピアノ)満を持して挑む“蝶々さん”で新しい時代のオペラを取材・文:室田尚子Interview 日本を代表するプリマドンナ佐藤美枝子が、初めて蝶々さんを歌う「佐藤美枝子のオペラ『蝶々夫人』ハイライト」が、9月に大和市文化創造拠点シリウスのやまと芸術文化ホールで上演される。自らの名前を冠したことについて、佐藤は「責任重大」だとしながら意気込みを語ってくれた。 「これまで夜の女王やルチアといったソプラノ・レッジェーロのレパートリーを歌い続けてきましたが、中音域が充実してきたこの年齢になって、ようやく蝶々さんを歌えると考えました。通常は重い声で歌われることの多い蝶々さんですが、プッチーニが考えた15歳の少女の持つ可憐さや一途さといったものを、今の私の声でぜひ聴いていただければと思っています」 音楽監督とピアノを手がけるのは服部容子。佐藤とは同世代で、共に今回の企画を立ち上げた。 「佐藤さんとはもともと、私たちが積んできたキャリアやオペラへの思いが詰まったプロダクションを小さな演目でやりたい、と考えていたんですが、《蝶々夫人》であれば、主要な登場人物だけが登場するハイライトという形で上演できるのではということになりました。歌手の方には衣裳を着ていただき、抽象的でイメージの広がるようなシンプルな装置に字幕映像をつけます。また文学座所属の山本郁子さんにナレーションをお願いしました」 共演者は、ピンカートンに井ノ上了吏、スズキに与田朝子、シャープレスに久保田真澄とベテラン勢を揃える。コロナ禍の中でソーシャル・ディスタンスを保ちつつオペラを上演するというのは大変な苦労があるのでは、と問うと、服部は、「むしろオペラの原点に立ち戻る機会をいただけたと思っています」と答えてくれた。「実際に抱きしめ合ったり、ということはできなくても、声によって距離や温度を示すことができる。それが、オペラの力です。時間芸術であると同時に空間芸術でもあるというオペラの特性を活かした舞台を創りたい」と言えば、佐藤も、「考え方やアイディアをポジティブに変換することで、新しい時代のオペラのかたちを世の中に発信していけるのでは」と強い意欲をみせる。舞台構成を手がける演出家の中村敬一は、「シンプルさの中に、音楽劇としての魅力を凝縮させて、オペラの小宇宙を実現します。オペラの根源的な力を信じて舞台を作ります」と語っている。 声の力を信じて結集したプロフェッショナルたちが魅せる、オペラの真のすがた。私たち観客にとっても刺激的なプロダクションとなりそうだ。アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2020-2021 後期 Vol.2澤畑恵美(ソプラノ)・矢部達哉(ヴァイオリン)・横山幸雄(ピアノ)が贈る午後の優雅な時間名手3人が奏でる豊かな音楽で心安らぐひとときを文:オヤマダアツシ 19世紀のヨーロッパ音楽は、なんと豊かな感性で聴き手に訴えかけ、こうした不安な毎日の中で心を充足させてくれるのだろう。澤畑恵美、矢部達哉、横山幸雄という、今や日本の音楽界の中でも安定した人気と評価を得ている3人が登場するアフタヌーン・コンサート「午後の優雅な時間」は、その深みのある歌と演奏ゆえに音楽がじんわりと心に染み入り、あらためて名曲の素晴らしさを再確認する時間になるはずだ。 一人の女性の生涯を8つの歌で辿る11/12(木)13:30 東京オペラシティ コンサートホール 8/29(土)発売問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp「女の愛と生涯」、そして30代初頭のベートーヴェンによる力作「クロイツェル」ソナタでは、歌およびヴァイオリンとピアノとの雄弁な音楽的会話が感動を呼ぶ。さらにシューマン、ブラームス、ショパンのピアノ・ソロ曲では、華麗な音色や激動のドラマに浸ることができるだろう。もちろんそれは、音楽とともに充実した人生を歩んできた“大人の3人”だからこそ生まれるものだ。左より:澤畑恵美/矢部達哉 ©大窪道治/横山幸雄 ©斉藤 亢服部容子佐藤美枝子 ©武藤 章
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