74CDCDCDCDベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第1番、メンデルスゾーン:同第2番/葵トリオクープラン家 幸福な思い/崎川晶子ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲集/アリーナ・イブラギモヴァ&ユロフスキー&ロシア国立アカデミー響Terzetti ― テルツェッティ/西正子&村上敏明&須藤慎吾ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第1番/メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第2番葵トリオ【小川響子(ヴァイオリン) 伊東裕(チェロ) 秋元孝介(ピアノ)】ルイ・クープラン:プレリュード ニ短調、アルマンド ニ短調、シャコンヌ「嘆き」ニ短調/フランソワ・クープラン:第2プレリュード、第2オルドル、かわいい年頃、第8オルドル/アルマン=ルイ・クープラン:ド・ボワジュル、悲嘆、フランス人 他崎川晶子(チェンバロ)ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番・第2番アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン)ウラディーミル・ユロフスキー(指揮)エフゲニー・スヴェトラーノフ記念ロシア国立交響楽団モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》第1幕より/ドニゼッティ:歌劇《愛の妙薬》第1幕より/プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》第1幕より/ヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》第1幕より、歌劇《イル・トロヴァトーレ》第1幕より 他西正子(ソプラノ) 村上敏明(テノール) 須藤慎吾(バリトン) 仲田淳也(指揮) F.O.A.アンサンブルマイスター・ミュージックMM-4078 ¥3000+税コジマ録音ALCD-1193 ¥2800+税Hyperion/東京エムプラスPCDA68313 ¥2857+税収録:2020年2月、東部フレンドホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00729 ¥3000+税2018年ミュンヘン国際音楽コンクール優勝で脚光を浴びた精鋭トリオのCD第2弾にして初のセッション録音。ベートーヴェンの「作品1-1」の選曲に本格的な第一歩を記す意気込みが表れている。事実同曲は楽聖のフレッシュさと創造力の豊かさを如実に示す精彩に富んだ快演。溌剌たる第1楽章から颯爽たる終楽章まで、表情の移ろいが鮮やかに表出されていく。メンデルスゾーンは有名な第1番ではなく晩年の第2番だが、これを何度も演奏している彼らは、緻密かつドラマティックな表現で、同曲が濃密な傑作であることを知らしめる。今後への期待も膨らむ好盤。(柴田克彦)1776年にパリの名匠、クリスティアン・クロルの手で製作されたクラヴサン(チェンバロ)。2008年に丁寧な修復がなされ、本来の豊かな響きを取り戻した。名手・崎川晶子が、この銘器に14年以来再び対峙。“大クープラン”ことフランソワを軸に、その伯父にあたるルイ、従甥アルマン=ルイと、華麗なる音楽一族の佳品を弾いた。自由ながら折り目正しく、感情豊かにして理知的。相反する要素が多層的に織り込まれ、多彩な色彩に溢れた音の花束。崎川はクロルのオリジナル楽器ならではの、底鳴りする低音から煌めく高音までを鳴らし切り、これらの機微をつぶさに掬い取ってゆく。(寺西 肇)ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲は、孤高の精神の旅路である。闇の中を手探りで進むノクターン、骸骨がカチカチと歯を鳴らし襲い掛かるスケルツォ、広大な大自然の前に一人たたずむ瞑想の時を経て、目標めがけて激しく疾走するフィナーレまで、シンフォニックな叙景を続けるオーケストラに、独奏者はほとんど休みなく対峙しなければならない。過酷な音楽だ。だからこそ数々の名演が生まれてきたが、ここに正真正銘の名盤が加わった。イブラギモヴァの音は強靭な意思、不屈の闘志を漲らせ、無類のテクニックでどんな難所も切り抜けていく。その姿に胸を打たれ、そして鼓舞された。(江藤光紀)ソプラノの西正子とバリトンの須藤慎吾による二重唱集『DUETTI』(2007年)の続編ともいうべき好企画盤。今回は日本を代表するテノールの村上敏明を加えて、アリアから三重唱までを注目の仲田淳也が指揮する小編成オーケストラとライヴ録音。イタリア・オペラを中心に、登場人物それぞれの思わくが音楽と同時進行で展開する名場面が盛り沢山だが、特にネモリーノの態度に困惑したアディーナがベルコーレ軍曹からの求婚に応じる《愛の妙薬》の第1幕、愛するレオノーラの前でルーナ伯爵がマンリーコを恋敵だと知る《イル・トロヴァトーレ》の第1幕、どちらも圧巻。(東端哲也)
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