72CDCDCDラヴェル作品集/辻井伸行&佐渡裕&トーンキュンストラー管野本哲雄 プレイズ・モーツァルト&シューベルトモノローグ 無伴奏ヴィオラ作品集/小峰航一パリの悦び―オルレアン公フィリップのフランス・バロック音楽―/辺保陽一&トーマス・バエテ&郡司和也ラヴェル:ピアノ協奏曲、亡き王女のためのパヴァーヌ、ボレロ、「ダフニスとクロエ」第2組曲/ドビュッシー:月の光辻井伸行(ピアノ)佐渡裕(指揮)トーンキュンストラー管弦楽団ノイエ・ヴィーナー・シュティメン(合唱)モーツァルト:ロンド イ短調/シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番野本哲雄(ピアノ)レーガー:無伴奏ヴィオラ組曲第1番~第3番/ブッシュ:無伴奏ヴィオラ組曲/ブロッホ:無伴奏ヴィオラ組曲/ストラヴィンスキー:エレジー小峰航一(ヴィオラ)アンドレ・ル・サック:組曲第1番/バリエール:クラヴサン・ソナタ第3番/オーベール:ヴァイオリン・ソナタ第4番/ボワモルティエ:組曲第5番/マレ:サント・コロンブ氏への追悼曲/ルベル:ソナタ第11番「煌めき」 他辺保陽一(リコーダー)トーマス・バエテ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)郡司和也(チェンバロ)収録:2018年6月、ウィーン(ライヴ) 他エイベックス・クラシックスAVCL-84109 ¥2500+税ナミ・レコードWWCC-7924 ¥2500録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9028 ¥2800+税コジマ録音ALCD-1191 ¥2800+税ピアノ協奏曲は気心が知れたコンビによる鮮度の高いライヴ録音。全体に辻井の瑞々しいピアノが光り、中でも第2楽章冒頭の長いソロの味わい深さに進境が示されている。さらには第3楽章の生き生きとした疾走感も心地よい。管弦楽曲も好演揃いで、特に「亡き王女のためのパヴァーヌ」のしなやかさと絶妙な抑揚、「ダフニスとクロエ」の精緻さと躍動感には大いに魅せられる。デリケートな「月の光」のアンコールも素敵だ。一枚で、協奏曲、管弦楽曲(「ダフニス」では合唱も)、ソロを楽しめる、佐渡&辻井入門にもラヴェル&フランス音楽入門にも最適なアルバム。 (柴田克彦)桐朋学園大学を卒業後、ソロはもちろん、アンサンブルピアニストとして多方面で活躍する野本。特に声楽のアンサンブルで評価の高い彼は、美しい音色、ニュアンスに富んだ音楽表現を持ち味とする。今回のディスクはそんな野本のピアニズムを最大限に聴かせてくれる一枚。音の数が非常に抑制されたモーツァルトのロンドはピアニストの資質のすべてを露わにしてしまうが、音に対する集中力の高さを最大限に発揮し、曲に漂う“哀しみ”を丁寧に伝える。装飾音の繊細な表現も美しい。シューベルトのソナタでは彼が本来持つあたたかい音色を活かし、息の長い旋律線を豊かに歌い上げている。(長井進之介)レーガーに始まる20世紀ヴィオラ無伴奏の世界を示す、意義深い一枚。充実の名品と知られざる佳品を集めた、資料的価値。レーガー晩年の3曲の意外な聴きやすさと楽しさ、名ヴァイオリン奏者アドルフ・ブッシュの作品や未完のブロッホ作品の水準の高さなどの発見。そして、京響首席奏者の小峰航一の素晴らしい演奏による、聴覚の喜び。小峰の特長である、澄んだ淡麗の味わいのような美音を生かしつつ、真摯にして覇気も十分な構築で、稀少楽曲の真価を見事に表現。20世紀という時代にヴィオラに託された思いとは何か。ヴィオラ愛好者以外にも体験してほしい、渾身のアルバム。(林 昌英)フランス・バロックに興味のある方は決して聴き逃せない一枚だろう。辺保陽一、トーマス・バエテ、郡司和也という当代きっての名手たちが奏でるは、ルイ14世〜オルレアン公フィリップ〜ルイ15世の時代にパリで出版された音楽。と言っても普通に知名度があるのはマレの作品くらいなもので、他は世界初録音となるアンドレ・ル・サック、ジャック・オーベールをはじめなかなかにマニアック。フランス的な典雅さとイタリア・バロック的な華やかさの混合が誠に興味深い。演奏は3人とも最高レベルだが特に辺保の滑らかな技巧が光る。最後のルベルを聴いていただきたい。 (藤原 聡)CD
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