29沼尻竜典(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ダイナミックな管弦楽サウンドを浴びる喜びをかみしめる文:飯尾洋一第337回 定期演奏会10/16(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp 東京シティ・フィルの第337回定期演奏会を指揮するのは、びわ湖ホールでの《神々の黄昏》無観客公演のライヴ・ストリーミング配信が記憶に新しい沼尻竜典。東京シティ・フィルの定期演奏会には今回が初登場となる。 プログラムには芥川也寸志とラフマニノフの作品が並べられた。芥川の「交響管弦楽のための音楽」は1950年のNHK放送25周年記念懸賞作品として特賞を受賞した作曲者の出世作。55年に来日したシンフォニー・オブ・ジ・エアーとNHK交響楽団により後楽園球場で演奏されたことでも知られている。明快で力強い作風を持ち、当時のソ連の音楽からの影響もうかがわせる。 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番では、86年モスクワ生まれのアンドレイ・コロベイニコフが独奏を務める。早くから『ラ・フォル・ジュルネ』の常連ピアニストとして来日を重ねている実力者だ。聴く人をぐっと作品世界へ引き込むような没入度の高い演奏を披露してくれることだろう。 そしてメイン・プログラムは同じくラフマニノフの交響的舞曲。ロシアを離れ、アメリカへと渡った作曲者が生涯の最後に書き上げた大作だ。サクソフォンや多数の打楽器を含むオーケストラがダイナミックできらびやかなサウンドを作り出す。大編成のオーケストラを聴く機会を長く待ち望んでいた方も多いことだろう。胸のすくようなラフマニノフを期待したい。川口成彦 フォルテピアノ・リサイタルプレイエルのオリジナル楽器で紡ぐショパンの名曲たち文:寺西 肇7/26(日)14:00 三鷹市芸術文化センター 風のホール問 三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122 https://mitaka-sportsandculture.or.jp 2018年にポーランドの首都ワルシャワで開かれた「第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール」で第2位入賞を果たし、一躍、国際的に脚光を浴びた若きフォルテピアノ奏者、川口成彦。コンクールへ臨む姿がドキュメンタリー番組で取り上げられるなど、いま最も注目を集める俊英が、ショパンの愛したプレイエルのオリジナル楽器で、その傑作の魅力の真髄へと迫る。 1989年に盛岡市で生まれ、横浜で育った川口。東京藝大を経て、アムステルダム音楽院の古楽科修士課程に学んだ。「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」は、古楽ムーヴメントの興隆を受け、ショパン国際コンクールを主催するポーランド国立ショパン研究所が創設。川口は、ここでの入賞の他にも、ブルージュ国際古楽コンクール・フォルテピアノ部門最高位など、数々の登竜門で実績を積み、18世紀オーケストラをはじめ、多くの第一線古楽アンサンブルとも共演を重ねている。 今回は、1843年に仏プレイエル社で製造された、オリジナルのフォルテピアノを使用。同社の楽器は、パリ時代のショパンが愛用したことで知られ、現代の楽器には決して真似のできない、まろやかな音色と幅広い表現力が特長だ。川口は巧みに知性と情熱のバランスをとりつつ、この繊細な響きを操って、「24の前奏曲」全曲をはじめ、「英雄ポロネーズ」や「幻想即興曲」、ワルツ第5番「大円舞曲」ほか、佳品の森から選りすぐった“傑作中の傑作”を披露。その魅力の本質を浮き彫りにしてゆく。©Fumitaka Saitoアンドレイ・コロベイニコフ ©Irene Zandel沼尻竜典
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