eぶらあぼ 2020.08月号
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23 冒頭の拍手から、まるで自分も客席にいるかのような響きだ。低音弦の響きは足元から振動が伝わり、ホルンなど金管楽器は上から降ってくる。テノールやソプラノ歌手の歌声は、言葉の子音からしっかりと立ち上がり伸びやかに届く。縦、横、奥行きのある、立体的な空間に身を置くようだ。 ここでテレビ本体のスピーカーに切り替えると、3次元が急に2次元になってしまったかのように広がりが潰れてしまった。比べてしまうと実に大きな差があるのだ。 このDAC搭載アンプには、お手持ちのパソコンに取り込んである音源も再生することができる。Bluetooth接続でスマホ音源も気楽に再生することが可能だ。お気に入りのスピーカーから、テレビ、PC、スマホ、いずれの音も高音質で出せるというわけだ。 ネット配信のテレビ音楽鑑賞でより高音質を追求してみたい方は、テレビとDAC搭載アンプの間に、オーディオ専用に作られているパソコン、通称“オーディオPC”をつなぐという方法もある。この場合はテレビ内蔵アプリや「Fire TV Stick」からデータが送られるのではなく、パソコンから映像と音がそれぞれテレビとUSB DACを通してスピーカーへと送られる。オーディオPCは通常のパソコンのように冷却ファンが回ってノイズを発生させるようなことがなく、よりクリアな音質が送られる。テレビではハイレゾ音源など容量の大きなデータを扱うことができないが、オーディオPCでは問題ナシだ。 試聴したのは、オリオスペック「Canarino Fils」というオーディオPC。同じベルリン・フィルの演奏を再生してみると、「Fire TV Stick」使用時の音質はシャープな印象だったが、「Canarino Fils」はより膨よかで余裕を感じさせる音質だ。 音の「違い」を段階的に探求しながら、充実した配信鑑賞ライフを楽しんでみてはいかがだろうか。秋葉原のPCオーディオショップ「オリオスペック」社長の酒井啓吉さん(右)は、ディープなオーディオPCの世界への水先案内人。 さらに良い音にするには〜オーディオPCの世界オリオスペック Canarino Filsファンがなく、とても静かな設計。アルミの躯体が高級感を醸し出す。

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