74CDCDCDグラズノフ:交響曲第4番&第5番/ラザレフ&日本フィルバッハの源流を求めて―三大「S」スヴェーリンク、シャイト、シャイデマン/椎名雄一郎ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 他/デニス・マツーエフラッパは鳴り響き/ハインリヒ・ブルックナーグラズノフ:交響曲第4番・第5番アレクサンドル・ラザレフ(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団スヴェーリンク:いと高き神にのみ栄光あれ、エコー・ファンタジア イ調、第9旋法によるリチェルカーレ/シャイト:主にして日なるキリストよ、ベルガマスカ、強と弱の2段鍵盤のエコー/シャイデマン:キリストは死の縄目につながれたり、ガリアルダ ニ調、プレアンブルム ニ調 他椎名雄一郎(オルガン)ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番/シュニトケ:ピアノ協奏曲/ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲デニス・マツーエフ(ピアノ)ガボール・タルケヴィ(トランペット)カンマーオーケストラ・ウィーン=ベルリントレッリ:5声のソナタ第1番/テレマン:「ターフェルムジーク 第2巻」/L.モーツァルト:協奏曲ニ長調/ヘンデル:アリア「ラッパは鳴り響き」 他ハインリヒ・ブルックナー(トランペット)コルネリア・ホラーク(ソプラノ) ウィーン交響楽団バロック・アンサンブル 他収録:2016年11月&2017年10月、サントリーホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00724 ¥3200+税コジマ録音ALCD-1192 ¥2800+税ユニバーサル クラシックスUCCG-40100 ¥2800+税収録:2014年6月&2017年9月、ドイツ(ライヴ) 他カメラータ・トウキョウCMCD-28369 ¥2800+税巣ごもり生活でライヴのエキスが足らない人に絶好の処方箋だ。グラズノフはラザレフが精力的に紹介してきたこともあって、近年、日本でも理解が深まっている。その素朴で抒情的な旋律は私たちの心にもまっすぐに入ってくるが、第4、5番はとりわけ美しいメロディー、躍動感のあるリズムで明るくポジティヴなメッセージを内包する。ラザレフ&日フィルは丁寧に作りこみ、艶やかな音色、深い呼吸、パンチの効いたサウンドで曲の精神を伸びやかに届けてくれる。シンコペーションで盛り上がるフィナーレの後の、聴衆の熱狂も収録。演奏会再開まで待ちきれない人には、とりあえずこれがお薦め!(江藤光紀)北ドイツ・オルガン楽派の祖スヴェーリンク、その弟子であるシャイトとシャイデマンは、大バッハにとっての“源流”。名手・椎名雄一郎が、コラールや他国の様式を踏襲して書かれた作品を、同時代に建造された銘器シュニットガーで弾く。確かな技巧に裏付けられた誠実な演奏。レジストレーション(音栓=音色の選択)など、決して奇を衒うことはない一方、ナイチンゲール(鳥の囀り)の効果も上品に使い、愉悦も存分に。自身は生涯にわたりルター派と関わりをもたなかったスヴェーリンクのコラールに基づく楽曲は、教育用とも考えられる。それでも、背景にある、祈りの感情を映し出すように奥が深い。(寺西 肇)これは痛快! フルパワーの技巧から絶美の弱音まで自在に操るマツーエフと、ウィーン&ベルリン・フィルの首席奏者を中心とした夢のアンサンブルの共演。“キレッキレ”としか言いようのない鋭さとテンションなのに、余裕すらある落ち着きと音楽の喜びも感じさせる。ショスタコーヴィチをこれだけ自在に楽しく、しかも美しく聴かせる演奏はめったにないのでは。フィナーレの即興性と完璧さの両立は、名人たちだけに許された遊びの世界。悪夢のようなシュニトケ作品の深い表現とクライマックスのピアノの迫力、ルトスワフスキの快作でのソロとオケ双方の超絶技巧も、最高の聴きもの。(林 昌英)ウィーン響の首席奏者を長年務めつつ、アンサンブルでも活躍してきたウィーンの名トランペッターがおくるバロック曲集。2002〜17年の録音をまとめた集大成的内容だが、L.モーツァルトの協奏曲以外は初出である。大きな特徴は、声楽曲や合奏曲とソロ系の曲が交互に収録された構成。独奏楽器のみならず共演楽器としての意味合いを含めた、同時代のトランペットの多様性を示す内容となっている。光輝にして清澄な音色と驚くほどナチュラルな表現による演奏も実に見事。華麗でいながら闇雲に突出しない抜群のセンスが上質の音楽的感興をもたらす好盤だ。(柴田克彦)SACD
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