35クレア・フアンチ(ピアノ)注目のピアニストがベートーヴェン・イヤーに奏でる希少な協奏曲文:長井進之介神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会 みなとみらいシリーズ 第362回8/22(土)14:00 横浜みなとみらいホール問 神奈川フィル・チケットサービス045-226-5107 https://www.kanaphil.or.jp クレア・フアンチは2011年のミュンヘン国際音楽コンクールで最年少にして第2位を獲得、18年にはチューリヒで行われたゲザ・アンダ国際ピアノコンクールで優勝を果たしたピアニスト。ドイツを中心に世界中で数々の演奏会や音楽祭に出演し、ショパンにラフマニノフからスカルラッティまで幅広いレパートリーを誇る彼女が、今年生誕250年を迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲ニ長調op.61aを神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演する。 このピアノ協奏曲はベートーヴェンの作品ではあるが、「皇帝」までの5つのピアノ協奏曲とは違う創作背景を持っている。これはベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調op.61を作曲者自身がピアノ協奏曲へと編曲したもの。全体は原曲と大きく変わらないが、随所で違った音型や表現が聴こえ、新たなベートーヴェンに出会える作品となっている。この公演は、なかなか演奏会では聴くことのできない楽曲を、今注目のピアニストが披露してくれるまたとない機会となろう。 オーケストラを牽引する指揮者はガブリエル・フェルツ。ハンブルク州立歌劇場でゲルト・アルブレヒトの助手を務めた後、ドイツの様々な劇場で首席指揮者や音楽監督を務め、現在はドルトムント市の音楽総監督、ドルトムント・フィルの首席指揮者。ドイツを中心に活躍の幅を広げるマエストロだ。マーラーの演奏でも評価の高い彼が振るラフマニノフの「交響的舞曲」にも注目したい。©Hitomi Imageウィーン少年合唱団今だからこそ心にしみる安らぎの「天使の歌声」を文:飯尾洋一9/22(火・祝)14:00、10/8(木)19:00、10/19(月)13:00 東京オペラシティ コンサートホール9/30(水)19:00、10/1(木)14:00 東京芸術劇場コンサートホール10/14(水)11:00 東京文化会館問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp※公演によりプログラムは異なります。全国ツアー、発売日の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 新型コロナウイルスの感染拡大により5月~6月の来日が中止となったウィーン少年合唱団だが、この秋、改めて来日ツアーを行うことが発表された。来日するのはカペルマイスターのマノロ・カニンが率いるブルックナー組。コロナ禍を乗り越える希望を込めて、プログラムには「Together(ともに)」というメッセージが込められる。 公演は9月22日から10月19日まで、全国各地で開催される。東京では6公演が開かれる。プログラムはAプロとBプロの2種類。いずれのプログラムでも共通するのは、ヨハン・シュトラウスⅡの「美しく青きドナウ」や「トリッチ・トラッチ・ポルカ」、ピアソラの「リベルタンゴ」、菅野よう子の「花は咲く」といった、おなじみの名曲。それぞれのプログラムごとに、グレゴリオ聖歌やヴィヴァルディ、パーセルらの古楽、オーストリア、ブルガリア、トルコなどヨーロッパ各地の民謡、「ふるさと」「浜辺の歌」といった日本の歌、シューベルトやロッシーニら大作曲家の作品など、実に幅広い時代や地域の歌が選ばれている。ウィーン少年合唱団ならではの清澄な歌唱をたっぷりと楽しむことができるだろう。 音楽界では長らく演奏会の中止が続いていたが、久しぶりに耳にする「天使の歌声」は、いつにも増して心地よい安らぎをもたらしてくれるのではないだろうか。©www.Lukasbeck.com
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