eぶらあぼ 2020.7月号
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18 皆様、お元気でお過ごしでしょうか。まずは世界中で新型コロナウィルスとの長い戦いが続く中、今もその最前線で多くの命を救って下さっている医療従事者の方々をはじめ、我々の命や、生活を守るため様々な分野で支えて下さっている皆様に心から御礼申し上げます。 コンサート会場で皆様にお会いすることがこんなに難しい世の中に変わってしまうなど、つい数ヵ月前には想像もしない出来事でした。相次いで公演は中止・延期となり、コンサートを楽しみに待っていて下さった皆様や、開催のためにご尽力いただいた主催者の皆様にもお会いすることが叶わず、意気消沈する毎日を過ごしておりました。 そんな日々から2ヵ月あまり、終わりの見えない戦いに不安な気持ちを抱きながら、同時に新しい世界への希望をどこかに見出そうとしている自分がいます。今年はベートーヴェン生誕250年のアニヴァーサリー・イヤーを、彼の音楽とともに皆様とお祝いできますことを楽しみにしておりました。ベートーヴェンをはじめ、感染症の脅威に立ち向かった作曲家たちは数多くいます。音楽は彼らに希望の光を照らし続け、そのたびに彼らは脅威に打ち克ち、芸術の灯火が消えることはありませんでした。奇しくも同じ境遇にある現在、我々も音楽の力を信じ、この困難な時をともに乗り越えていけたらと思います。小川加恵Kae Ogawa/デンハーグピアノ五重奏団、フォルテピアノKAJIMOTO コンドルズ ジャパン・アーツSpecial Thanks 数ヶ月前、ワーグナー作曲《ニーベルングの指環》最終章「神々の黄昏」演出稽古中にコロナウイルスが蔓延し始めていました。主催者のびわ湖ホールと関係者一同はこの大きなプロジェクトを前にし苦しみながらも6時間に及ぶ公演を決断し、無観客・YouTube配信で実現した記念すべき上演となりました。その後世界的に信じ難い状況で未だ不安の多い日々です。ほぼ全てが停止している現在、とにかく健康を維持したくさん力を蓄えその時を待ちたいです。この時代の変わり目に私たちが生存する理由、アーティストにどのような影響が起こり今後変化するのか想像ができませんが、平和な世の中に向かうことを祈ります。安藤赴美子Fumiko Ando/ソプラノ©Shingo Azumaya

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