15 昔のヨーロッパで疫病が蔓延したときに音楽家はどの様に乗り越えてきたのだろう…? タイタニックの映画の中でカルテットが人々の心を和らげようと最後まで楽器を手放さなかった演奏をやめなかったシーンを思い出します。 今、音楽家は何ができるのだろう…? オーケストラもフリーの演奏家もどれ程、困窮してるだろう…胸が痛みます。 1日も早く、私たちに平和な時間が訪れますように。小林研一郎Ken-ichiro Kobayashi/指揮 ピアノには、人生がいくつあっても足りないと言われるほど無尽蔵にレパートリーがあります。このコロナ禍によって、自宅で過ごす時間が増えた今、ここぞとばかりに知られざる名曲を求めて、宝探しの日々を送っています。夏までの予定は、ほぼ全てが中止か延期となり、目前の演奏会の準備に追われることもないので、普段なら忙しさを口実に敬遠しがちな、音の多い複雑な曲の譜読みも、落ち着いてできるという訳です。 ほんの数ヶ月前には想像もできなかったこの現実世界ですが、時間が過ぎるのも忘れて別世界に誘ってくれる、そんな音楽に救われていることを、改めて思い知らされる毎日です。 11月に日本で予定している公演にて、無事に皆様と音楽の喜びを分かち合えますことを祈っています。広瀬悦子Etsuko Hirose/ピアノ©Michel Restany
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