40©Taku MiyamotoRoad to 2027 仲道郁代 ピアノ・リサイタル 音楽における十字架5/17(日)14:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp仲道郁代(ピアノ)音楽家の「十字架」に深く思いを込めて取材・文:千葉 望Interview ピアニスト・仲道郁代が自身の演奏活動40周年と、ベートーヴェンの没後200年を迎える2027年に向けて継続中のプロジェクト「Road to 2027」。第3回は、彼女が「十字架のソナタ」と呼ぶベートーヴェンのピアノ・ソナタ21番「ワルトシュタイン」を軸としたプログラムが演奏される。 「曲のモティーフから全体像を分析するのは故・諸井誠先生に教えていただいた手法です。私には、同じ音の連打が横線で、主音から属音への上行下行が縦線となって十字架を形作っているように見えます。同じ音を叩いていると、粛々と進んでいかなければならない人間の営みを、一方で上行下行にはそれを切り裂くようなエネルギーを感じるのです。 有名な『ハイリゲンシュタットの遺書』は『ワルトシュタイン』が書かれた前年の1802年に書かれました。実際に見てみましたが、小さな紙の裏表に小さな字がびっしり。最初は『耳が悪くなってもう生きていけない』とあるのに、後半になると『神から与えられた使命があるから芸術家として生きていこう』という宣言に変わっているんです。『ワルトシュタイン』も、そんな前向きなエネルギーに満ちています。 第22番のソナタは『ワルトシュタイン』と『熱情』の間の訳のわからないソナタなどと言われているけれど(笑)、実は『ワルトシュタイン』と同じ調、同じリズムが巧みに隠されていたりして、非常に意味深な橋渡しになっていると思います」 後半のショパンとシューマンの曲も、彼らが背負っていた十字架を意識して選んだという。 「ショパンの十字架とは、離れたまま戻れない祖国ポーランドへの愛。今回弾くのは彼が書いたノクターンの中で最も大きな作品(op.48の2曲)で、そこに深い思いがあるのではないでしょうか。一方、シューマンの十字架はクララとの恋愛です。ソナタ第3番は結婚したいのに引き離されてしまった時に書かれたソナタで、彼の夢や絶望が込められています。彼らがそれぞれどのように自分の『十字架』と向き合い、ケリをつけていったのかを聴ける曲ばかりなのです。 以前の私は自分が思い描くベートーヴェン像に縛られ、それに近づこうとしていました。今は『私はこのようにベートーヴェンをとらえます』と、自分が主語になってきましたね。彼が人生や音楽について真剣に考えたことに私も向き合い、ピアニストとしてだけではなく音楽家・芸術家として何をしていくか考える。その過程を大切にしながら2027年までの道のりを歩んでいきたいと思っています」 スパニッシュ・ブラス情熱の音楽を満載した本場のスーパー・ブラス 文:柴田克彦 “世界中で彼ら以上に素晴らしいクインテットは思い当たらない”と、かのクリスチャン・リンドバーグに絶賛された「スパニッシュ・ブラス」が、5年ぶりに来日する。彼らは1989年に結成されたメンバー全員がスペイン人の金管アンサンブル。96年のナルボンヌ国際金管五重奏コンクール優勝で一気に国際シーンへ進出し、エンパイア、カナディアン等と並ぶ世界最高峰のブラス・クインテットと称されている。その演奏は、圧倒的なテクニックと完璧なアンサンブルに加えて、明朗かつ切れの良いサウンドが魅力。しかも様々な動きを交えたユーモア溢れるステージは、エンタテインメント性抜群だ。6/17(水)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp他公演 6/14(日)茨城/ザ・ヒロサワ・シティ会館(029-241-1166)6/15(月)東京/武蔵野市民文化会館(小)(0422-54-2011)6/18(木)愛知/宗次ホール(052-265-1718)6/21(日)山口/秋吉台国際芸術村コンサートホール(0837-63-0020) 今回はフラメンコ(ダンサー2名)とギターも参加し、よりバラエティに富んだステージを展開。「カルメン組曲」「スペイン舞曲集」「三角帽子」といったクラシックの名曲、ピアソラの定番曲、「チャップリン組曲」、地元スペインの舞曲等、ラテン&スペイン色満点のプログラムで、本場のテイストを満喫させてくれる。これはブラス・ファン以外にもお薦め!
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