eぶらあぼ 2020.5月号
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37沼尾みゆき & 徳永洋明 デュオ・リサイタル5/15(金)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp沼尾みゆき(ミュージカル女優)アコースティックサウンドで味わうミュージカルの名曲  取材・文:藤本真由Interview 劇団四季で数々の有名ミュージカルに主演、退団後もミュージカル界で活躍を続ける沼尾みゆきが、作曲家・編曲家・ピアニストの徳永洋明とデュオ・リサイタルを行う。Hakuju Hall名物のリクライニング席を使用したシリーズ「リクライニング・コンサート」の一環で、最大45度シートを倒した状態で二人の丁々発止を楽しむことができる。 沼尾と徳永は東京藝術大学音楽学部時代からの友人。声楽科の沼尾と作曲科の徳永、歌の伴奏が必要なとき、作曲楽曲の歌い手が必要なとき、互いに声を掛けて協力し合う仲だったという。 「周りの学生が無調だったり鍵盤を肘で演奏する箇所があったりといった現代的な曲を作る中、彼は実に調性的でメロディックな曲を作ってきて、これで点数大丈夫かな?なんて思いながら歌ったことも(笑)。でも、結局は彼のその曲が非常に高く評価されて、『聴いていてきれいだなと思う曲ってやっぱりいいな』と感じた思い出があります」 今回のコンサートでも、『ごんぎつね』で知られる児童文学作家・新美南吉の詞に、徳永が曲をつけた「デージイ」が登場。「私のためのオリジナルで、お花についてのとてもかわいく明るい曲なんです」というから楽しみ。クラシックの名曲をメドレーで演奏する「3分で分かる西洋音楽史」、「ハクジュホールに捧げる即興演奏」など、徳永のコーナーも充実の限りだ。 ミュージカル作品からは、沼尾が劇団四季時代に主演を務めた『サウンド・オブ・ミュージック』や『オペラ座の怪人』、そして『キャッツ』や『マイ・フェア・レディ』といった有名作品から、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう曲が続々と登場。クラシック畑からミュージカル界へと羽ばたいた彼女ならではの歌声が堪能できそうだ。 「ミュージカルは、クラシックと違って予備知識や予習がなくても楽しめるところが魅力。その一方で、ソプラノ、テノールといった声域に関係なく作曲されている曲もあったりしますが、私はプロフェッショナルとして、すべての音、かなりの低音でもきっちり出すことを心がけて歌ってきました。ミュージカルの舞台と違い、今回のようにマイクがない状態でのコンサートは、声そのままでの勝負でもあり、プレッシャーと楽しみがあります。徳永さんはしゃべりもとてもうまく、私とのトークも漫才のようだとご好評をいただいていますので(笑)、ぜひリラックスして楽しみにいらしてください」飯野明日香 Parfum du Futur Vol.20 新たな出会い2種類のピアノで近代の秀作と委嘱新作を聴く贅沢なひととき文:藤原 聡 「Parfum du Futur」(未来の香り)は飯野明日香が2005年から毎年欠かさず開催しているリサイタルシリーズ。実に20回目を数える今年は昨年の第1回に続く「エラールの旅」第2回。「エラールの見たもの」との副題が付された昨年に対し、今年のそれは「新たな出会い」。前半ではエラール・ピアノが全盛期を迎えた19世紀後半からほど近いグラナドス、ガーシュウィン、シェーンベルク、ラフマニノフ、パルムグレン(シェーンベルクとラフマニノフなど一般的なリサイタルではまず並ぶま5/10(日)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 オーパス・ワン03-5577-2072 http://opus-one.jpい)らの作品たちを、後半では一転してスタインウェイを用いニューアルバム『和の歌(WANOKA)』の発売を記念して収録曲を披露。これは気鋭の日本人作曲家10人による全曲委嘱新作という意欲的な構成で、一見前後半で全く毛色の違う内容に見えて、その実双方「新たな出会い」とのキーワードで繋がっていよう。聴き逃せぬリサイタルとなるに違いない。

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