116CDCDCDオーガニック・モーションズ~久留智之ギター作品集/大坪純平OBSESSION Ⅱ/三舩優子&堀越彰シューベルト:グラーツ幻想曲/高橋アキヤコブ・ファン・エイク:笛の楽園 Vol.5/江崎浩司久留智之:オーガニック・モーションズ3、地上にひとつの場所を、アラベスコ・マジコ、タッピング・コナックル、古代より大坪純平(ギター)松岡麻衣子(ヴァイオリン)間部令子(フルート)ファリャ:ナナ~火祭りの踊り/J.S.バッハ:主よ 人の望みの喜びよ/ラヴェル:道化師の朝の歌/ドビュッシー:沈める寺、月の光/カプースチン:トッカティーナ/ヒナステラ:ミロンガ/シューベルト:魔王/シベリウス:フィンランディア(以上オブセッション編) 他オブセッション【三舩優子(ピアノ) 堀越彰(ドラム)】シューベルト:ヒュッテンブレンナーの主題による13の変奏曲 D576、幻想曲「グラーツ幻想曲」D605A、4つの即興曲 D899高橋アキ(ピアノ)ヤコブ・ファン・エイク:「笛の楽園」より〈No.70 甘い眠り〉~〈No.88 詩編150番 ハレルヤ、聖所で神を賛美せよ〉、付録 新曲(Ⅲ)江崎浩司(リコーダー、ショーム、ドゥルツィアン)富永和音(リコーダー)録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9027 ¥2800+税オクタヴィア・レコードOVCT-00173 ¥3000+税カメラータ・トウキョウCMCD-28372 ¥2800+税フォンテックFOCD-9833 ¥2800+税エレキとクラシックを自在に行き来するユニークなギタリスト、大坪純平。初のソロCDはコスモポリタニズムの権化とも形容すべき無国籍性、そしてそれと相反するような土俗性を洗練された技法の内に封じ込めた作品を書き続ける久留智之の作品集。エレキも弾くためなのか、大坪の演奏はいわゆるクラシックギター奏者とはいささか趣が異なり、それはソリッドな音色と鋭敏かつ自在なリズムの変容といった点に確かめられる。そうした美質が最大限に生かされた例が「タッピング・コナックル」だろう。と同時に懐の深い音楽性は最後の「古代より」で十全に発揮される。このボキャブラリーの多彩さ。(藤原 聡)クラシックとジャズ、それぞれの分野で名を馳せるピアニストとドラム&パーカッショニストによる新感覚ユニットのCD第2弾。今回も溢れる高揚感と疾走感とで更に綿密なアンサンブルが楽しめる多様な10曲。ファリャの「ナナ(子守歌)」や2014年の結成当初からの定番作品である「火祭りの踊り」で安らかに幕を開け、ラヴェル「道化師の朝の歌」もドビュッシー「沈める寺」もカプースチン「トッカティーナ」もシューベルト「魔王」も、時にお互いの役割を入れ替えつつ変幻自在に原曲を超える。フル編成のオケを従えたように壮大なシベリウス「フィンランディア」も圧巻だ。(東端哲也)高橋アキのシューベルト・シリーズ第7弾。今回はまず1969年に発見された「グラーツ幻想曲」がポイントとなる。別人の作の疑いもある若き日の曲だが、この演奏ではチャーミングで優しい佳品として耳に届き、喜多尾道冬氏が解説で示した「即興曲の前身」の風情を実感させる。即興曲D899もインティメイトな魅力が表出され、一音一音が明晰でいながら胸に深く染みる。なかでも有名な第3曲は孤独感が滲み出るかのよう。これは抑揚や強弱の変化が激しいパフォーマンスではなく、“内的情緒”の世界へ導くパーソナルな演奏というべきか。傾聴に値する一枚。 (柴田克彦)弦楽器奏者にとって、バッハの無伴奏作品が“聖典”なら、『笛の楽園』はリコーダー吹きにとってのそれか。17世紀オランダの盲目の奏者、ファン・エイクが遺した全150曲に及ぶ曲集。名手・江崎浩司は4年前から、世界でも珍しい全曲録音に取り組む。第5弾では、リード楽器ショームを含めた、14種の笛を用いている。楽曲への深い愛情が、確かな技巧で1本の笛に吹きこまれた瞬間、広大な響きの宇宙を形創る。奏者自身が綴る解説にも、深い思い入れが滲む。また今回、全曲中で5曲のみという2声作品も登場。江崎の愛弟子・富永和音が共演し、阿吽の呼吸で魅せる。 (笹田和人)CD
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