112CDCDCDシューベルトを讃えて/鈴木大介さすらい人/チョ・ソンジンバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ/桐山建志&小倉貴久子中南米を音楽で旅する~アルゼンチン・キューバ・ブラジル作品集/原山智子シューベルト:楽興の時 第2番・第3番/ポンセ:ソナタ・ロマンティカ「シューベルトを讃えて」/シューベルト(メルツ編):6つの歌曲/ランツ:2つのロンディーノ鈴木大介(ギター)シューベルト:「さすらい人」幻想曲ベルク:ピアノ・ソナタ リスト:ピアノ・ソナタ チョ・ソンジン(ピアノ)J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ、パルティータ第3番より〈プレリュード〉、同第2番より〈シャコンヌ〉桐山建志(ヴァイオリン)小倉貴久子(フォルテピアノ)ピアソラ:天使のミロンガ、天使の死、天使の復活、アディオス・ノニーノ、アヴェ・マリア(佐々木睦編)/レクオーナ:ハバネラ、黒人ラプソディ/ナザレ:嵐のような口づけ、滑りながら、大騒ぎ/ヒナステラ:12のアメリカ大陸風前奏曲、ミロンガ原山智子(ピアノ)アールアンフィニ(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)MECO-1058 ¥3000+税ユニバーサル ミュージックUCCG-40097 ¥2800+税 5/8(金)発売コジマ録音ALCD-9204/5(2枚組) ¥3400+税BeltàレコードYZBL-1065 ¥2500+税このシューベルトへのオマージュは、身体性を喚起するラテン系の演目とは違うギターの魅力をあぶりだす。柔らかなハーモニーに包まれた調べが、聴き手を親密な領域へと誘う。シューベルトがギター曲を書いたという証拠はないが(詳細はブックレット参照)、彼が自宅で開いていたシューベルティアーデは、まさにこういう飾り気のない雰囲気の中で行われていたのだろう。ギターが当時オーストリアでも人気の楽器だったことは、本盤所収の同時代人の優れた作編曲を通じても確認できる。ポンセのシューベルト讃も、この文脈で聴くと改めて味わい深い。ギター文化の隠れた水脈に気づかされた。(江藤光紀)着実に一人の成熟した音楽家としての歩みを続けるチョ・ソンジン。その進化は、演奏はもちろん、プログラミングからも読み取ることができる。本盤はまさにそれを体現したものであり、磨き抜かれた輝きをもつ彼の音色、それらの扱いによって生み出される色彩と“うた”、そしてその感動を支える精密なテクニックといったものが存分に発揮されている。シューベルトでは輝かしく立体的な音色と、特に第2楽章で聴ける繊細な歌心、ベルクでは構築性の高さと重厚な音楽づくり、そしてリストでは劇的な表現力とそれらをまとめあげる構成力の高さをじっくりと楽しませてくれる。(長井進之介)知る人ぞ知るバッハ:ソナタ&パルティータのシューマンとメンデルスゾーンによるピアノ伴奏版。ソロで完結しているのでは? しかし当盤を聴くとシューマンとメンデルスゾーンは彼らの流儀に従ってバッハの楽曲をロマン派的なソナタ作品に変容させているとも言え、バッハ的でない箇所があると同時に逆説的にバッハの懐の深さを感知させる。メンデルスゾーンはあくまでヴァイオリンを立てて慎ましやかな伴奏に徹し、対するシューマンはソロと有機的に絡み、時には想像もしなかった和声が聴こえたりと実に刺激的。桐山&小倉のコンビは厳格よりも自在さを優先、これは理に適っていよう。(藤原 聡)ロシアン・ピアニズムを学びつつ、中南米のクラシック音楽にも定評のあるピアニストによるCD第2弾。前作で高評価を得たキューバのレクオーナ作品からは、カリビアンと黒人それぞれの民族的リズムを持った2曲。“ブラジルのショパン”とも称されるナザレの作品からも情熱に溢れた祝祭的な3曲を用意。一方で人気のピアソラ作品はドラマティックでありながら、祈りにも似た厳かな雰囲気で聴かせ、特に甘美な〈アヴェ・マリア〉が胸に迫る。その弟子でもあった、同じブエノス・アイレス出身のヒナステラの「12のアメリカ大陸風前奏曲」は汎アメリカ的な壮大さで楽しめる。(東端哲也)SACD
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