eぶらあぼ 2020.4月号
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83ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団英国音楽の2つの傑作と藤倉大をカップリング文:飯尾洋一第679回 定期演奏会 4/25(土)18:00 サントリーホール 川崎定期演奏会 第75回 4/26(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp 東京交響楽団音楽監督として意欲的なプログラムを組むジョナサン・ノット。古典から現代音楽まで、そのレパートリーの広さには感嘆するほかないが、イギリス人指揮者ノットにとってイギリス音楽も大切なレパートリーだ。この4月の定期演奏会では日英交流年「UK in JAPAN 2019-20」を記念して、イギリスの作曲家ウォルトンの大作「ベルシャザールの饗宴」他がとりあげられる。 「ベルシャザールの饗宴」は旧約聖書の『ダニエル書』他にもとづく、バリトン独唱と混声合唱およびオーケストラのためのカンタータ。ベルシャザール王の饗宴の最中に攻撃を受けたバビロンが陥落し、ユダヤ人が解放される物語が描かれる。合唱が非常に重要な役割を果たし、大編成のオーケストラとともにスペクタクルをくりひろげる。これまでもたびたびノットと名演を披露してきた東響コーラスが、今回も大活躍してくれることだろう。独唱はバスバリトンのニール・デイヴィス。 ウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」に加えて、エルガーの傑作「エニグマ変奏曲」、そしてイギリスを拠点に国際的に活動する藤倉大の「海」も演奏される。「海」は藤倉のオペラ《ソラリス》をもとに作られた管弦楽曲。オペラ本編は以前、東京芸術劇場にて演奏会形式で上演されているが、作曲者によればオペラとはまた異なる音楽世界が表現されているという。こちらも好奇心を刺激する。ニール・デイヴィス ©Gerard Collettジョナサン・ノット ©K.Miura 第13回 トッパンチャリティーコンサート「ことばのしらべ」朗読と音楽で紡ぐ大作曲家たちのものがたり文:笹田和人5/16(土)16:00、5/17(日)14:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222https://www.toppan.co.jp/charityconcert/ 途上国での識字能力の向上を支援していこうと、世界的な総合印刷企業である凸版印刷が行っている「トッパンチャリティーコンサート」。第13回は「朗読とクラシック音楽の響宴『ことばのしらべ』」と題し、元TBSアナウンサーの進藤晶子のプロデュースにより、有名アナウンサーや女優、演奏家が、“ことば”を縦糸、“しらべ”を横糸とした、たおやかな物語を織り上げる。 1900(明治33)年に創業して以来、印刷を通じて情報や文化の普及・発展にも力を注ぐ凸版印刷。このチャリティーコンサートは2008年から毎年開催され、収益をユネスコ・アジア文化センターに寄附、カンボジアでの識字能力向上のための教育支援に役立てられ、着実な成果を挙げている。 今回のステージには、語り手としても出演する進藤に加えて、元NHKアナウンス室長の山根基世、女優の中井貴惠と紺野美沙子、そして、ヴィオラの川本嘉子、ピアノの上杉春雄と、第一線で活躍する表現者たちが出演。人生に苦悩する大作曲家たちの姿を家族の視点から描いた、阿川佐和子著の短篇小説集『恋する音楽小説』を、エルガーの「愛の挨拶」やシューマンの「女の愛と生涯」(抜粋)ほか、数々の名旋律を交えて朗読する。 「表現のプロたちが集結しておくる朗読コンサート。当日、どんな化学変化が起きるのか、今から私もワクワクしています。『朗読は初めて』とおっしゃるお客様にも、楽しんでいただける内容になっています」。期待を込めて、進藤は語る。中井貴惠紺野美沙子進藤晶子川本嘉子上杉春雄山根基世

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