eぶらあぼ 2020.4月号
83/207

80カルテット・アロド深みを増す4人の卓越したアンサンブルを堪能する文:林 昌英4/23(木)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp他公演 4/21(火) 武蔵野市民文化会館(小)(完売)4/22(水) 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ(075-711-3231) 今世紀に入ってから、若手の優秀なクァルテットが続々と登場し続け、群雄割拠といえる時代になっている。そんな中で若手団体の代表格となりつつあるのが、フランスの「カルテット・アロド」である。パリ国立高等音楽院の仲間によって結成されたのが2013年、その後わずか数年で、15年ニールセン国際室内楽コンクール、16年には最高峰の難関であるミュンヘン国際音楽コンクール、それぞれで優勝をさらってしまったのだ。その「アロド」が、17年に続いて2度目の日本ツアーを行う。 王子ホールの公演は、彼らの自信が伝わるような、ハイドンとシューベルトの名曲が選ばれた。ハイドンはその集大成的なセットである作品76の5曲目、第79番「ラルゴ」。特別な美しさをもつラルゴ楽章を中心に、温かさにあふれた第1楽章、快速のフィナーレ楽章など、充実の名品である。シューベルトは最高の人気作のひとつ、第14番「死と乙女」。先述のコンクールでも「死と乙女」をはじめ古典作品の好演を重ねて優勝しており、今回も王道レパートリーでその熱気が再現される。両曲の間には、現代ハンガリーの巨匠作曲家クルターグが、同国の作曲家に捧げた「ミハーイ・アンドラーシュへのオマージュ~12のミクロリュード」を取り上げ、現代もののセンスも聴かせる。 「アロド」の魅力は、しなやかな歌と絶妙なバランス感覚、パリで培った上質な音色、ドライヴ感あふれる強い表現意欲。まさしく世界最先端のクァルテットのパフォーマンスで、名曲を堪能できるステージとなる。©Marco Borggreve雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第21回 牛田智大 ピアノ・リサイタルショパンの名曲に酔う凝縮された60分文:東端哲也5/22(金)11:15 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net ランチ・タイム前のひととき、人気アーティストによる演奏を、音楽ライター・山野雄大の軽快な解説をナビゲートに楽しむ、第一生命ホールの「雄大と行く 昼の音楽さんぽ」。2015年4月に日本を代表するチェリストの藤原真理を第1回にスタートしたこの人気企画も6年目を迎える。第21回に登場するのは、12年に日本人ピアニストとして最年少でユニバーサル ミュージックよりCDデビューを果たした牛田智大。その後も活躍を続ける彼は18年11月に行われた浜松国際ピアノコンクールで日本人歴代最高位の2位となり、ワルシャワ市長賞と聴衆賞も受賞。昨年は第29回出光音楽賞に輝き、10代最後のアルバム『ショパン:バラード第1番、24の前奏曲』をリリース。同作はそれまでロシアの作曲家を得意としてきた彼が、初めてショパンにフォーカスしたアルバムとして話題を呼び、鍛えられた強い指と精度の高いテクニックに美しい音色が加わったその演奏は高く評価された。 今回の『音楽さんぽ』も期待を抱かずにはいられない注目の “オール・ショパン・プログラム”。作曲家人生そのものを描くような比較的重いテーマを含み、その特徴的なスタイルやイメージが鮮烈に表現されている大作「24の前奏曲」をはじめ、「4つのマズルカ(第14~17番)」、「舟歌」など魅惑のラインナップ。20歳となった俊英の新たなステージを身近に体験できるはず。©Ariga Terasawa

元のページ  ../index.html#83

このブックを見る