eぶらあぼ 2020.4月号
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71東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 會田瑞樹(パーカッション)さまざまな打楽器を駆使し、創造と表現の最前線へ文:江藤光紀4/18(土)15:00 日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター) 交流ホール問 HAL PLANNING 022-262-16824/21(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp 若い才能を積極的に発掘してきた東京オペラシティ リサイタル シリーズB→C(バッハからコンテンポラリーへ)にパーカッショニストの會田瑞樹が登場する。 作曲家との協業を通じ打楽器創作の世界を精力的に切り開いてきた會田は、すでに200曲以上の初演曲を誇り、リリースしたCDも3枚を数える、その界隈ではつとに知られた名手である。今回のリサイタルはそのポテンシャルをより幅広い聴衆層にアピールするチャンスだが、そんな機会すら新機軸の試みの場へと変えてしまう。チャレンジこそ生き様だ、と言わんばかりの勢いを感じる。 中学生だった會田に衝撃を与えた、13個の膜質打楽器を叩きまくる石井眞木「サーティーン・ドラムス」以外は、會田が委嘱し誕生した曲が多く並ぶ。たとえば、多彩な音色で幻想的な世界を描き出す内藤明美「砂の女」、ヴィブラフォンのまばゆい音色が心地よい波動を生む権代敦彦「光のヴァイブレーション」、アイヌ語の断片を挟む佐原詩音「ペトルンカムイ」などいずれも會田が初演した力作だ。 さらにインドネシアでの国際交流事業で知り合ったウェリ・ヘンドラッモコを招き、彼の作品並びに會田の自作を二人で演奏するとともに、気鋭の作曲家・薮田翔一に新作を委嘱、ガムラン楽器と箏(金子展寛)との“異種格闘”の三重奏も繰り広げる。B→Cでは必須のバッハ作品(今回はプレリュードとフーガ BWV543)も、箏とヴィブラフォンによる編曲バージョンを白藤淳一に委嘱。ここに世界の重鎮・細川俊夫の新作初演が加わる“攻めっぱなし”のプログラムだ。聴き手も覚悟して臨もう。©Shoichi YABUTA横山幸雄“入魂のショパン” Vol.11 2日間で満喫するショパン~その人生と作品~ショパンの生涯を音で追体験する濃密な時間文:高坂はる香5/2(土)、5/3(日・祝)各日第1部13:30~ 東京オペラシティ コンサートホール「未来のショパニストのための『ショパン物語』」は両日11:00~問 ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212 https://www.japanarts.co.jp※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 横山幸雄がショパン国際ピアノ・コンクールに入賞して、今年でちょうど30年。入賞以来、通常の演奏会はもちろん、誰にも真似できないようなあっと驚く企画で、ショパンを骨身に染み込ませてきた。なかでも2010年のショパン生誕200年にギネス世界記録となった、ピアノ曲全166曲の演奏会以来、毎年ゴールデンウィークに継続してきた「入魂のショパン」は、もはやこの季節の恒例となった。 11回目の今年は、2日間各日、本編が13時半から21時というスケジュール。そして原点に立ち返るように、概ね作曲年代を追う形で、ほとんどのピアノ曲を演奏する。衣装はコシノヒロコ。各部のスタートには、横山がどんな姿で現れるかという楽しみもある。 そして今回新しいのは、両日午前中にピアノとお話による「未来のショパニストのための『ショパン物語』」が催されること。横山が台本、構成を手がけたといい、未就学児、それも0歳から入場可能。小さいうちから本物を聴かせたいという親の願いを叶えてくれる、ゴールデンウィークに嬉しい企画だ。 この長丁場の演奏会、一度参加すると、ショパンの全生涯を音で追体験したことへの不思議な充実感を覚え、また行ってみたくなる。客席の一体感も特別で、同時代に生きるピアニストの美しい音を共有する喜びが終始漂う。 年々、ショパンへの共感を強めてゆく横山。そのピアニストとしての一つのステップを、今年も会場で聴いておきたい。©アールアンフィニ

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