eぶらあぼ 2020.4月号
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58三又治彦N響チェンバー・ソロイスツ 第1回 フランス音楽の花園6/23(火)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp三又治彦(ヴァイオリン)& 福川伸陽(ホルン)N響気鋭メンバーによる室内楽シリーズ始動、奥渋を熱く盛り上げる!取材・文:林 昌英Interview 代々木公園近くに位置するHakuju Hallで、新しいシリーズ公演「N響チェンバー・ソロイスツ」が始まる。同ホールの理想的な音響で、NHK交響楽団メンバーによる室内楽が定期的に聴けるようになるのである。その中心メンバーであり、すでにN響の中核を担う存在でもある、ヴァイオリン次席の三又治彦とホルン首席の福川伸陽に話を聞いた。 三又「奥渋地域(渋谷の東急百貨店本店から代々木公園駅近辺)を盛り上げていくため、NHKホール、オーチャードホールも含めて文化連携ができないか、というHakuju Hall支配人との話がきっかけです。『渋谷とN響』の深い関係にも合致しますし、ぜひやろうということになりました」 彼らをはじめN響の楽員にとっても待望の企画であり、「新しいN響の音にもつながっていく」と口をそろえる。 福川「参加メンバーの多くは入団数年から10年前後で、これから中心になっていく世代です。室内楽をやると新しい発見がたくさんあり、お互いのことをわかっていく機会にもなります」 三又「同じ楽団でも弦と管のメンバーが話す機会は多くなく、各自の思いをこの場で共有していきたい。メンバーは固定せず、年2回のペースを想定しています」 福川「声をかけると皆さん二つ返事でやりたいと。仕事というよりも、真剣な遊びの場でもあります。部活みたいな(笑)」 門出となる6月の公演は、『Bunkamura ドゥ マゴ パリ祭』に合わせ、フランスものを。前半はひねりの効いたオリジナル作品、後半は有名作品の編曲を集めた。 三又「前半はラヴェルの名品『序奏とアレグロ』、ミヨーの弦楽器による五重奏曲という珍しい作品に、フランセの洒落たディヴェルティスマンと、ユニークな3曲です」 福川「メインの『マ・メール・ロワ』は編曲ですが、小編成で透明な響きを作ることにこだわりたい。このホールでニュアンスやフレージングをそろえたときの美しさは、オリジナルにも負けないと思います」 彼らの「ソロイスツ」への意気込みは強く、「何十年と継続していくような企画にしたい」と語る。 福川「大ホールでの音の出し方を“オン”とすれば、小ホールでは“オフ”の音が必要になる。それを『ソロイスツ』で追求して、皆がN響に持ち帰ってどうなるのかも、すごく楽しみですね」 三又「いいアンサンブルは、各人が強く表現しながら、隠れがちなパートの奏者が輝くように気も遣っている。僕たちもお互いを生かし合うアンサンブルを実現していきたいと思います」 10月24日の第2回には、なんとマーラーの交響曲第10番全曲(!)の室内オーケストラ版(日本初演)を予定しているという。「純粋に楽しいことをやりたい!」という彼らの新しい挑戦、楽しみに見続けていきたい。第495回日経ミューズサロンアレッサンドロ・カルボナーレ クラリネット・リサイタル世界的巨匠が絶賛する驚異の名技を堪能文:柴田克彦 驚異的な超絶技巧で知られるクラリネット奏者、アレッサンドロ・カルボナーレが、再び日本公演を行う。イタリア生まれの彼は、フランス国立管等を経てサンタ・チェチーリア国立管の首席奏者を務める世界屈指の名手。一流オケとの協奏曲、世界各地でのリサイタル、アルゲリッチらとの室内楽やマスタークラスでも腕をふるっている。特に光るのは、彼に全幅の信頼を置いたアバドが指揮するモーツァルト管での活躍。中でもグラモフォンに録音したモーツァルトの協奏曲は、2013年度レ4/3(金)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227http://www.nikkei-events.jpコード・アカデミー賞を受賞するなど、強いインパクトを与えた。明るさとシックな香りを併せ持つ音色、破格のテクニックを駆使したその演奏は、優美かつ躍動的で、軽妙洒脱にして歌心満点。自在の奏法で聴く者を魅了する。 今回のプログラムは、前半がサン=サーンスやドビュッシー等の名作、後半が速吹きに仰天必至のパスクッリ「蜂」やガーシュウィン等のエンタテインメント作品。ミラノ在住の個性派ピアニスト、黒田亜樹との息の合ったコラボで多彩な魅力を堪能させる。福川伸陽

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