eぶらあぼ 2020.4月号
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47親しいアーティストたちとのダンサブルな音楽を存分に楽しんでほしいと思います取材・文:宮本 明 写真:武藤 章りがたいことです」 今年のフェスティバルでは、「ダンス・ミュージックへの誘い」と題する室内楽コンサートで、ピアノの清塚信也、ヴァイオリンの松田理奈という人気アーティストたちと共演する。三人での共演は実は初めてだというが、それぞれは旧知の仲。 「こんな面白いメンバーでやらせてもらえるのはうれしいですね。気心知れた二人なので、すごく楽しみです。清塚さんは今やもう押しも押されもせぬ有名人ですが、ヴァイオリンの高嶋ちさ子さんと三人でよく一緒にやっていた時期もあって、久しぶりに共演できるのを楽しみにしています。松田さんは、もちろんビジュアルも素敵なんですけれども、自分の演奏をとことん突き詰めている方で、とくにバロックや古典の音楽に関しても、とても真摯に向き合っていらっしゃる。すごく誠実なヴァイオリニストです」 コンサートは前半がクラシック中心で、古川はショパンの「序奏と華麗なるポロネーズ」などを弾く。そして、清塚のアレンジによる三重奏で、ピアソラなどを華やかに繰り広げる後半。タイトルどおり、舞曲・ダンスがテーマのプログラム。 「ダンスはクラシック音楽とは切り離すことのできない重要な要素ですが、でも今回に関しては、あまりこむずかしく考えずに、とにかく純粋に音楽の魅力を感じてもらうのが一番。それが僕の使命だと思っています。芸術音楽だけれどもエンタテインメントとしても楽しんでいただきたい。そう思います」 音楽文化の発展・普及に尽力する「ローム ミュージック ファンデーション」は、若い音楽家の育成支援にも熱心に取り組み、支援を受けた音楽家たちはすでに4,600人を超えた。ロームでは彼らを「ローム ミュージック フレンズ」と呼んでいるが、今年5回目の開催となる「ローム ミュージック フェスティバル2020」は、そのフレンズたちが春の京都に集い、多種多様な内容のコンサートを繰り広げる、音楽漬けの2日間だ。チェロ界を牽引するベテラン古川展生も、1992年、94年、96年と、スイスで開催された音楽セミナーに参加したフレンズのひとり。 「セミナーは2週間、レマン湖畔のヴヴェイという街から上がった素敵な山荘で行われました。チェロの林峰男先生やヴァイオリンの宗倫匡先生、ヴィオラの深井碩章先生といった、ヨーロッパ在住の高名な先生方のレッスンを受けられて、しかも渡航費・宿泊費からレッスン費まで含めて14万円で参加させていただけるという、すごくリーズナブルなセミナーだったので、学生の間では話題でしたね。 最初に参加した1992年は19歳。まだ桐朋学園大学の1年生で、まわりは先輩ばかり。今でこそ音楽大学同士の交流も盛んですが、その頃はまだあまり交流がなく、大学を超えた学生同士のネットワークもできて、いい意味でのカルチャーショックを受けたことをよく覚えています。参加者は弦楽器ばかり10人ぐらいの少数精鋭という感じで、全員の名前を覚えていますし、今も一緒に仕事をしている方もたくさんいらっしゃいます」 2016年に開催されたフェスティバル第1回にも出演し、ヴァイオリンの神谷未穂、ピアノの萩原麻未とともに、ベートーヴェンの三重協奏曲を弾いた(阪哲朗指揮京都市交響楽団)。 「前日のリハーサルの後で出演者が一堂に集まるのですけれど、久しぶりに再会する仲間もたくさんいたし、『あ、この人もロームにお世話になっていたんだ!』という人もいて、お互いに驚きもあったりと、面白かったです。僕はセミナーには参加させていただいたのですが、奨学制度などは当時不勉強で知らなくて、16年のときに初めて支援システムを詳しく知ることができました。さまざまな形で手を差し伸べていただけるのは、音楽家には本当にあInformationロームミュージック フェスティバル20204/18(土)、4/19(日) ロームシアター京都リレー コンサートB ダンス・ミュージックへの誘い4/18(土)15:45 ロームシアター京都 サウスホール出演/清塚信也(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン)、古川展生(チェロ)曲目/ショパン:ポロネーズ第6番「英雄」、ピアソラ:リベルタンゴ、チャイコフスキー:バレエ音楽『くるみ割り人形』より「花のワルツ」 他問 エラート音楽事務所075-751-0617https://micro.rohm.com/jp/rmf/activity/rmfes/2020/※ローム ミュージック フェスティバル2020の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

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