eぶらあぼ 2020.4月号
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1846月の見もの・聴きもの2020年6月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン・ムジークフェライン音楽祭2020(5月8日-6月13日)[会場:ムジークフェライン大ホール(ウィーン)](6月分/主要公演のみ/他会場の公演は省略)◎6月2(19:30)日 D.バレンボイムP ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番「田園」、第3番、第24番、第30番◎6月3(19:30)、4(19:30)日 A.ネルソンス指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」、第7番◎6月5(19:30)日 D.バレンボイムP ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第16番、第14番「月光」、第6番、第31番◎6月6(15:30)、7(11:00)日 A.ネルソンス指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン:交響曲第8番、第9番「合唱」独/L.クロウS、G.ロンベルガーA、K.F.フォークトT、G.グロイスベックBs6月6(19:30)日 J.ローレル指揮ウィーン放送響 E.ヴェレス:プロスペローの魔法(シェイクスピアの『テンペスト』による5つの交響的作品)、A.カゼッラ:チェロ協奏曲、メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」 独/M.ホルヌンクvc◎6月7(19:30)日 D.バレンボイムp ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第9番、第4番、第22番、第32番6月8(19:30)日 ウィーン・ヴィルトゥオーゾ モーツァルト:交響曲第33番、ピアノ協奏曲第22番、シューベルト:交響曲第5番 独/R.ブッフビンダーp◎6月11(11:00)日 D.バレンボイム指揮ウィーン・フィル マーラー:交響曲第9番◎6月12(19:30)、13(19:30)日 P.ジョルダン指揮ウィーン響 マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」 独/C.ニールントS、E.マギーS、S.コノリーA、M.シュスターA、B.フリッツT、I.パターソンBr、J.レリアBs、他ウィーン国立歌劇場6月1、5日 モーツァルト:フィガロの結婚 指/S.ゲッツェル、演出/J=L.マルティノティ、出/S.ハッセルホルン、A.ハルティッヒ6月3日 R.ヴィリャソンT、I.アブドラザコフBs共/C=A.マシソンp6月4、7、11日 ドニゼッティ:ランメルモールのルチア 指/E.ピド、演出/L.ペリー、出/G.ペテアン、B.ラエ、M.スパイアース6月9、13、16日 ヴェルディ:アイーダ 指/M.アルミリアート、演出/N.ジョエル、出/E.グバノヴァ、S.ラドヴァノフスキー◎6月12日 A.ネトレプコS 共/E.バシュキロワp6月14、17日 ヴェルディ:ナブッコ 指/G.ガルシア=カルヴォ、演出/G.クレーマー、出/P.ドミンゴ★◎6月15、18、21、24、29日 ヴェルディ:仮面舞踏会[プレミエ] 指/M.マリオッティ、演出/J.E.ケップリンガー、出/F.メーリ、L.テジエ、K.ストヤノヴァ6月19、22、26日 ヴェルディ:イル・トロヴァトーレ指/M.アルミリアート、演出/D.アバド、出/G.ペテアン、M.レベカ6月20、23、27日 ヴェルディ:椿姫 指/P.ドミンゴ、演出/J=F.シヴァディエ、出/A.ガリッフリーナ、B.ベルネーム◎6月28日 〔ガラ・コンサート(若手アンサンブル2010-2020)〕 指/P.ドミンゴ、M.アルミリアート、A.フィッシャー、A.アルティノグリュ、出/V.ナフォルニータ、C.レイス、A.シャギムラトヴァ、M.グリツコヴァ、O.ベスメルトナ、T.コニエチュニー、他多数◎6月30日 ヴェルディ:ファルスタッフ 指/Z.メータ、演出/D.マクヴィカー、出/A.マエストリ、S.キーンリサイド、シ・イージェ、O.ベスメルトナ、C.レイス、M=N.ルミューウィーン・フォルクスオーパー6月1(19:00)、6(19:00)、10(19:00)日 ロルツィング:皇帝と船大工 演出/H.ホルストコッテ6月2(19:00)、8(19:00)、17(19:00)、24(19:00)、30(19:00)日 C.ポーター:キス・ミー・ケイト(ミュージカル) 演出/B.モットル6月4(19:00)日 カールマン:チャールダーシュの女王 演出/P.ルント6月11(19:00)、14(19:00)、19(19:00)、22(19:00)、25(19:00)、28(19:00)日 バーンスタイン:ワンダフル・タウン(ミュージカル)演出/M.ダヴィッズ6月13(17:00)、23(11:00)日 P.ヴァルティノーニ:ピノッキオ 演出/P.M.クレンアン・デア・ウィーン劇場6月10(19:30)、11(19:30)、12(19:30)日マーラー:大地の歌(シェーンベルクによる室内オーケストラ編曲版/演出付上演)(ウィーン芸術週間2020) 指/E.ポマリコ、演出・コンセプト/P.ケーヌ、出/C.ダレツカ、M.プフルム、演奏/クラングフォルム・ウィーンウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(NY)=カーネギー・ホール(ニューヨーク)]◎6月3(19:30)、4(19:30)、6(15:30)、7(11:00)、11(11:00)日 A.ネルソンス(3/4/6/7日)/D.バレンボイム(11日)指揮 → 〔ウィーン・ムジークフェライン音楽祭2020〕参照◎6月12(19:30)(KH)、13(15:30)、14(11:00)日 D.バレンボイム指揮 マーラー:亡き子をしのぶ歌、交響曲第5番 独/O.フォン・デア・ダメラウMs◎6月19(20:00)(NY)日 D.バレンボイム【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 6月はマーラーの大曲、交響曲第8番「千人の交響曲」に注目公演が2つある。バイエルン州立歌劇場の音楽監督として同劇場のオーケストラを振る最後の演奏会となる、キリル・ペトレンコ指揮バイエルン州立管と「ウィーン・ムジークフェライン音楽祭」の掉尾を飾るフィリップ・ジョルダン指揮ウィーン響の演奏。どちらも一つのイベントの最後にふさわしい選曲か。ちなみに、マーラーには、サロネン=フィルハーモニア管の「嘆きの歌」、バレンボイム=ウィーン・フィルの交響曲第9番、ドゥダメル=ベルリン・フィルの第2番「復活」、ネトピル=エッセン・フィルの第3番などの公演もあり、マーラー・ファンにとってはたまらないラインナップ。 6月にプレミエになるオペラにも注目公演がたくさんある。まず、ケルン歌劇場でロトが振るベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」。フランスではなくドイツで演奏されるベルリオーズに何か心惹かれるものがある。ちなみにロトは同歌劇場でツィンマーマンの「兵士たち」の再演も振る。これが前記のベルリオーズと公演日程が重なるので、6月のロトは八面六臂の大活躍といったところだろうか。 次の注目プレミエはベルリン・ドイツ・オペラのワーグナー「ラインの黄金」。1980年代からこの劇場で延々と上演され続け、名実ともに伝説と化した、あのゲッツ・フリードリヒの「トンネル・リング」(こんな呼び方をするのは日本人だけのようだが)がついに終了した後、シュテファン・ヘアハイムの新演出により新たに出される「リング」第1作がこの「ラインゴールド」。…なのだが、指揮も歌手も何となくルーチン公演っぽいオーダーなので、話題性にはイマイチ乏しい趣もある。続いてはノイエンフェルスの演出する、ミュンヘン・オペラ・フェスティバルでのラモー「カストールとポリュックス」。バルタザール=ノイマン合唱団の共演が魅力的。そして、ビエイト演出のヴェルディ「シチリア島の夕べの祈り」(チューリヒ音楽祭)や、ミラノ・スカラ座でヨンチェヴァが出演するジョルダーノの「フェドーラ」、メータの指揮するヴェルディ「仮面舞踏会」といったイタ・オペもの、ベルリン州立歌劇場でのロシアものはムソルグスキー「ホヴァンシチナ」、シャンゼリゼ劇場でのモンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」(ルセ指揮)、グラインドボーン・オペラ・フェスティバルでのヘンデル「アルチーナ」といった古楽系、テアトロ・レアルでのヴァインベルク「旅行者」といった現代オペラ、などと続く。なお、プレミエではないが、メータはウィーン国立歌劇場のヴェルディ「ファルスタッフ」の指揮も担当する。 プレミエ以外のオペラでは、ミンコフスキが、ボルドー国立歌劇場でモーツァルトの「ダ・ポンテ三部作」、パリ・オペラ・コミークでリュリの「町人貴族」、ベルリン州立歌劇場でモーツァルト「フィガロの結婚」を立て続けに指揮するフル回転状態。また、ロイヤル・コンセルトヘボウ管がピットに入るフルシャ指揮のドヴォルザーク「ルサルカ」(オランダ国立オペラ)、アルティノグリュ指揮の「ばらの騎士」(モネ劇場)、ヘレヴェッヘの指揮するシューマン:ゲーテの「ファウスト」からの情景(演出付)(フランドル歌劇場)、ジュネーヴ大劇場でノットの振るメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」などと限りがない。 オーケストラではティーレマン=ロイヤル・コンセルトヘボウ管のブルックナー5番、インバル=SWR響のメシアンやスクリャービン、ラトル=ロンドン響のグレインジャー特集やアメリカ音楽ばかりのコンサート、ライプツィヒ・バッハ音楽祭でのネルソンス指揮ゲヴァントハウス管のバッハ「ロ短調ミサ」、注目指揮者マケラの振るNDRエルプ・フィルとミュンヘン・フィル等々。音楽祭もいろいろ始まっているので、本文の◎をご参照のほど。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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