eぶらあぼ 2020.4月号
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169コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報今月の注目公演公演情報ぶらPAL西宇宙(バリトン)、特別賞に小林道夫(ピアノ/チェンバロ)が選ばれた。同賞は、日本の音楽文化の発展と将来を期待される音楽家の活躍を支援する目的で、1990年に設けられた。 大西は、85年東京生まれ。武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了後、ジュリアード音楽院で学び、国内外のコンクールに数多く入賞する一方、シカゴ・リリック・オペラなど数多くのオペラに出演。2019年にはセイジ・オザワ松本フェスティバルの《エフゲニー・オネーギン》にてタイトルロールの代役を務め、日本でのオペラ公演デビューを飾るなど、活躍が続いている。 小林は、クラシック音楽界のパイオニアとして世界的名演奏家との共演も数多く、特にバッハ、モーツァルト、シューベルトの演奏において高い評価を受ける。東京藝術大学バッハカンタータクラブでは、指揮者として多くの演奏家を育てたほか、1975年には清里音楽祭を創設、81年からゆふいん音楽祭の音楽アドバイザーも務めた。 受賞記念コンサートは7月15日に紀尾井ホールで開催される予定。日本製鉄音楽賞https://www.nipponsteel.com/csr/social/music/prize.html■第21回 ホテルオークラ音楽賞に藤田 真央と服部百音 ピアノの藤田真央とヴァイオリンの服部百音が第21回 ホテルオークラ音楽賞の受賞者に決定した。同賞は、将来を嘱望される音楽家の支援を目的としてホテルオークラ東京が1996年に創設。毎年2組の音楽家に授与されている。 藤田は、2019年のチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で第2位に入賞。17年のクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールでは18歳の若さで優勝し、併せて聴衆賞などの特別賞を受賞するなど、目覚ましい活躍を見せている。豊かな歌心、フレキシブルなリズム感など新鮮味と自発性に満ちた演奏とその音楽的センスが評価されての受賞となった。 服部は、09年にヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門で史上最年少で優勝。15年ゴールドシュタイン国際ヴァイオリン・コンクールでグランプリを受賞するなど、数々のコンクールで入賞を果たしている。現在は、ザハール・ブロン・アカデミーに在籍し、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースに在学中。作品に真正面から向き合いながら表現を考察し、一貫して自身の音楽を追求し続ける姿勢が評価された。ホテルオークラ東京https://theokuratokyo.jp■訃報:ネッロ・サンティ氏 イタリアの世界的指揮者で、とくにオペラで活躍したネッロ・サンティ氏が2月6日、スイスのチューリヒで死去した。88歳。1931年、イタリア・アドリア生まれ。パドヴァ音楽院で様々な器楽や作曲を学び、51年に同地のヴェルディ歌劇場で《リゴレット》を指揮してデビューした。早くから高い才能が認められ、58年から69年までチューリヒ歌劇場の音楽監督を務めた。その後、ミラノ・スカラ座など欧州の主要歌劇場での活動は絶賛され名声を不動のものとする。62年にはニューヨーク・メトロポリタン歌劇場にも登場した。サンティはイタリア・オペラの巨匠であり、とりわけヴェルディでの作品様式を尊重したスタイリッシュな演奏で高く評価され、世界の著名歌手たちから厚い信頼を寄せられた。日本にもたびたび訪れ、読売日本交響楽団やNHK交響楽団と共演し、オペラと交響曲の両方で卓越した音楽性を披露。後者とは《ラ・ボエーム》《アイーダ》《シモン・ボッカネグラ》を演奏会形式で上演し、多くのファンを魅了した。膨大なレパートリーを暗譜で指揮することでも知られた。藤田真央 ©EIICHI IKEDA服部百音 ©Chihoko Ishii2010年10月、N響定期《アイーダ》より©S.Takehara 写真提供:NHK交響楽団

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