eぶらあぼ 2020.4月号
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166発表が行われた。 「コンクール」は、第1部門の弦楽四重奏に加え、第2部門としてピアノ三重奏とピアノ四重奏が審査対象となる。世界18ヵ国・地域から49団体(第1部門:21団体、第2部門:28団体)の応募があり、予備審査を通過した20団体が1次予選に参加する。 審査委員長の堤剛は「第10回の記念の年にふさわしい、ハイレベルな参加者となった。第1部門の弦楽四重奏に、日本からはこれまでで最も多い3団体が参加する。教育機関での室内楽に対する取り組みや、大阪国際室内楽コンクールを目指し切磋琢磨する気運の高まりを感じている。 新型コロナウイルス感染症の影響により、各所で中止・延期の措置がとられているが、本コンクールは東日本大震災のときも力強く乗り越え、海外からの評価がますます高まった経験がある。国際音楽コンクール世界連盟が5月に、日本で初めてとなる総会を開催する。関係者の多くがコンクールを視察されると聞いている。ベストを尽くし、盛り上げていきたい」と語った。 新たな試みにも取り組む。第1回から第3回の優勝団体メンバーのなかから審査委員を招聘するほか、受賞者の活動を支援するため今大会から「クワチュオール・ア・ボルドー」「ストリング・クァルテット・ビエンナーレ・アムステルダム」と提携、第1部門に参加した団体のうち1団体がそれぞれのフェスティバルに招聘(アムステルダムは第1位の団体)される。 このほか、課題曲として望月京に弦楽四重奏曲を委嘱、プレ・イベントとして過去の入賞団体によるコンサートシリーズ「世界をリードする弦楽四重奏の饗宴」を開催する。 「フェスタ」は、2人から6人までの編成で、年齢制限はなく、楽器編成は自由。各国の伝統音楽、民族音楽の楽器を使用する団体も参加可能で、事前に公募した各会場100名の一般審査員による聴衆審査を最大の特徴とする、世界的にも類を見ないユニークなコンクール。今回は世界26ヵ国・地域から77団体の応募があり、18団体が1次ラウンドに進む。新たな取り組みとして地方との連動を図るため、フェスタの1次ラウンドを富山と三重で行う。 コンクール&フェスタの模様は全審査演奏がライヴストリーミングで世界に同時配信され、後日アーカイヴでも配信する。取材・文:寺司正彦大阪国際室内楽コンクール&フェスタhttp://www.jcmf.or.jp/compefesta2020/■ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020記者 会見 ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020(LFJ)の記者会見が2月18日、東京国際フォーラムで行われた。今回のテーマは生誕250年を迎えた“Beethoven−ベートーヴェン”。5月1日の前夜祭で幕を開け、5月2日〜4日を本期間とし、東京国際フォーラムを中心とした大手町・丸の内・有楽町エリアほかで約325公演(うち有料公演は126公演)が行われる。今年の注目は、2年ぶりに復活した前夜祭と、最終日の「みんなで第九」。前夜祭はスペシャル ガラ・コンサート「ベートーヴェン・ピアノナイト」と地上広場でのネオ屋台村スーパークラシック「ベートーヴェン・ナイトフェス」。「みんなで第九」はLFJ史上最大規模の聴衆参加型プログラムとなり、井上道義の指揮のもと5,000人が「第九」を歌うという。 プログラム全体では、交響曲、協奏曲、ピアノ・ソナタの全曲を3日間で聴くことができ、ピアノ協奏曲第0番やヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版などアニヴァーサリーイヤーならではの作品もある。また、交響曲第3番「英雄」とコールドプレイの名曲を融合させた作品や、「第九」の終楽章をリスト、ワーグナー、カルクブレンナーの3人がピアノと合唱にアレンジした作品の聴き比べ公演など、編曲ものも充実している。 アーティストはオーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)、ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)、ラルス・フォークト(ピアノ)といった世界的名手の出演をはじめ、若手人気ピアニスト藤田真央の初登場にも注目だ。 LFJアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンは、次のようにコメントした。 「ベートーヴェンが亡くなってから現代まで、彼の作品が演奏されなくなったことは一度もない。19世紀にもベートーヴェンの曲を編曲した作品がおよそ6,000点もあった。今年のLFJはベートーヴェンの音楽を旅する信じられないような経験になるでしょう」ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2020https://www.lfj.jpふかわりょう(LFJアンバサダー)、ルネ・マルタンPhoto:M.Suzuki/Tokyo MDE

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