eぶらあぼ 2020.3月号
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57マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮) 読売日本交響楽団欧州屈指の名匠、ブルックナー「第3番」で初登場!文:山田治生第597回 定期演奏会 4/8(水)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp 欧州の様々な楽団を振って、ブルックナーの交響曲全曲録音を行ったマリオ・ヴェンツァーゴが読売日本交響楽団に客演し、ブルックナーの交響曲第3番(第3稿)を振る。ヴェンツァーゴは、1948年チューリヒ生まれ。地元の音楽院で学んだあと、ウィーンでハンス・スワロフスキーに師事した。ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団、グラーツ歌劇場、バーゼル交響楽団、インディアナポリス交響楽団、エーテボリ交響楽団などのシェフを歴任。幅広いレパートリーを有し、とりわけ、近現代音楽に数多くの録音を残している。5つのオーケストラ(タピオラ・シンフォニエッタ、ノーザン・シンフォニア、ベルン交響楽団、バーゼル響、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)とのブルックナー交響曲全集では、作品の性格に合わせてオーケストラを選び、明快にすっきりとブルックナーを描いていたのが印象的であった。読響とはどんなブルックナー演奏を繰り広げるのか興味津々である。 バーバーのヴァイオリン協奏曲で独奏を務めるシモーネ・ラムスマは、オランダを代表するヴァイオリニストの一人。2019年のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のシーズン・オープニング・ナイトで、急病のジャニーヌ・ヤンセンに代わって、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を弾いた。ニューヨーク・フィルハーモニックやシカゴ交響楽団などとも共演。60を超えるレパートリーを持つという彼女だけに、バーバーも期待できそうである。ベアトリーチェ・ラナ(ピアノ) リサイタル有名指揮者の指名も多い注目の才媛が再来日文:高坂はる香3/10(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com 南イタリアの古都レッチェの音楽一家に生まれ育った、ピアニストのベアトリーチェ・ラナ。2012年浜松国際ピアノアカデミーのアカデミーコンクールで牛田智大と優勝をわけ、さらに翌13年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで銀メダルと聴衆賞に輝き、聴き手の心を掴むピアニストであることを証明した。入賞時はまだ20歳だったが、彼女はこの銀メダルを機にコンクール生活は終えると宣言して国際的なキャリアをスタート。長年コンクールを受け続ける若者が多い中、彼女はほんの数年のコンクール生活で、あっという間に音楽界での立ち位置を確立したといえる。伸びやかで情熱的な音楽が魅力のピアニストだ。 そんなラナが、2017年に日本での正式なリサイタルデビューを果たしたトッパンホールの舞台に、再び立つ。前回はバッハ「ゴルトベルク変奏曲」一本勝負という選曲でピアニストとしての度量の大きさを見せたが、一転、今回はバラエティに富んだプログラム。バッハのイタリア協奏曲にはじまり、シューマンのピアノ・ソナタ第3番、アルベニス「イベリア」第3集、そしてストラヴィンスキーの「『ペトルーシュカ』からの3楽章」と、時代、地域ともに異なる作品が並んだ。おおらかな音楽性の背後にある、作曲家への共感、表現の幅の広さが発揮されるだろう。 いずれも、彼女の生き生きとして輝かしい音が似合うプログラムばかり。大いに期待できそうだ。シモーネ・ラムスマ ©Juan Carlos Villarroelマリオ・ヴェンツァーゴ ©Alberto Venzago

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