eぶらあぼ 2020.3月号
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170SACDCDCDラヴェル:ボレロ 他~フランス管弦楽の色彩/飯森範親&日本センチュリー響このみち~日本のうたⅡ~/幸田浩子メンデルスゾーン&ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番/椿三重奏団ベルギー・アルバム LA BELGIQUE/郷古廉&加藤洋之ラヴェル:ボレロ/ビゼー:「アルルの女」組曲 第2番/ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲/ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」飯森範親(指揮)横山幸雄(ピアノ)日本センチュリー交響楽団中田喜直:夕方のお母さん/團伊玖磨:はる/伊藤康英:このみち/いずみたく(藤満健編):見上げてごらん夜の星を/菅野祥子:波雫(なみだ)/池田綾子(藤満編):時は風のように/沼尻竜典:歌劇《竹取物語》より 〈帝に捧げるアリア〉 他幸田浩子(ソプラノ)藤満健、沼尻竜典(ピアノ)コール・ジューン・ジュニア(合唱)メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番/ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番、ハンガリー舞曲第6番、ワルツ第15番/モンティ:チャルダーシュ椿三重奏団【高橋多佳子(ピアノ) 礒絵里子(ヴァイオリン) 新倉瞳(チェロ)】ルクー:ヴァイオリン・ソナタ/イザイ:子供の夢、冬の歌/フランク:ヴァイオリン・ソナタ郷古廉(ヴァイオリン)加藤洋之(ピアノ)収録:2019年7月、ザ・シンフォニーホール(ライヴ)マイスター・ミュージックMM-4072 ¥3000+税日本コロムビアCOCQ-85483 ¥3000+税アールアンフィニMECO-1057 ¥3000+税オクタヴィア・レコードOVCL-00695 ¥3200+税飯森範親&日本センチュリー響の5年のコンビネーションの成果を明示したアルバム。全体に飯森のテンポ感の良さが際立ち、統一されたフレージングやアーティキュレーションが室内楽的ともいえる精妙な仕上がりをもたらしている。「ボレロ」は精度の高い妙技が展開され、「アルルの女」は〈メヌエット〉の美しさが特筆もの。「フランスの山人の歌による交響曲」は、飯森の明解な表現と瑞々しさを湛えながら煌めく横山幸雄のピアノが、意外と耳にする機会の少ない同曲の魅力を改めて伝えてくれる。「ローマの謝肉祭」のリズムも秀逸。南欧の佳き空気感が横溢した好盤だ。(柴田克彦)名花ソプラノの「日本のうた」集、待望の第2弾も、ジャンルの垣根を超えて聴く者の心にそっと寄り添う佳曲の詰め合わせ。音楽はもとより、サトウハチロー〈夕方のお母さん〉、谷川俊太郎〈はる〉、金子みすゞ〈このみち〉など、名だたる詩人たちが紡ぐ言葉のひと粒ひと粒が愛おしい。後半には盟友・菅野祥子の〈春なのに〉の続編〈波雫(なみだ)〉や合唱団コール・ジューン・ジュニアとの共演によるシンガー・ソングライター池田綾子の〈時は風のように〉ら、現代を生きる歌も。7月に再演される沼尻竜典の歌劇《竹取物語》からの、かぐや姫のアリア収録も嬉しい。(東端哲也)グループ名に冠された「椿」の白い花のイメージの通り、たおやかな調べ。しかし、時には、凄みや骨太さすらも織り込んで、多層的な響きの世界を形創る。十年来の共演歴のある女性奏者たちが、満を持して結成したトリオのデビュー盤。粒立ちと流れの良さを両立させる、高橋多佳子の絶妙なバランス感覚と、礒絵里子の艶やかさ、新倉瞳の豊潤さが、三位一体に。メンデルスゾーンとブラームスのピアノ三重奏曲に現れ出でる、変幻自在な光と影を、繊細かつ巧みに掬い取り、作品の本質へと肉薄してゆく。そう、「白い椿」の花言葉の中には、「完璧な美しさ」もあるという。(笹田和人)若手ヴァイオリニストの中でも際立った活躍を続ける郷古廉が、「ベルギーもの」を集め、フランコ=ベルギー派の名匠もかくやという豊かな音色を聴かせる。24歳で早逝したルクーの名品は、青年の憧れと憂愁に満ちたロマンを、精妙なニュアンスで表現した名演。フランクの名作は、あえて淡々と歌いはじめて自然に大きい抑揚を作ることで、作品本来の感動を明らかにしていく。穏やかな冒頭から最終楽章の高揚感まで全体の設計も秀逸、実に懐が深い。イザイの佳品でのユニークな表現も聴きもの。加藤洋之のピアノは音楽的な名技がすばらしく、演奏に深い奥行きを与えている。(林 昌英)SACD

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