eぶらあぼ 2020.2月号
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56ベルリンフィル12人のチェリストたち人気抜群の贅沢なグループ、今年は1回のみの公演文:柴田克彦6/29(月)19:00 サントリーホール 2/8(土)発売問 「ベルリンフィル12人のチェリストたち」公演事務局(ヴォートル内)  03-6379-2177(1/20以降) http://www.nikkei-events.jp 数あるベルリン・フィルの室内楽グループの中で最も親しまれているのは、やはり「ベルリンフィル12人のチェリストたち」であろう。世界最高峰オーケストラのチェロ・セクション全員で構成された同グループは、1972年の結成以来、半世紀近くにわたって活躍。世界各国での演奏やCD録音を継続し、著名作曲家が書いたオリジナル曲や独自の編曲を通して、音楽表現の可能性を広げている。チェロは音域が広大で音色は豊麗。同楽器が12本揃えば唯一無二のブレンド音や表現の幅が生まれ、その芳醇な響きと音楽は独特の心地良さをもたらす。特に当グループはソリスト級のメンバーが揃っているので、クオリティの高さは他の追随を許さない。それにステージと客席のコミュニケーションで佳き雰囲気が醸成される稀有の魅力も相まって、過去15回の東京公演はすべてチケット完売の人気を誇っている。 ただしベルリン・フィルの音楽の要ともいえるチェロ・セクション全員が参加するため、オフシーズンにしか活動できない。よって毎回の公演が得難い機会となる。しかも今年6月に行われる16回目の来日公演は東京1回のみ。これは言うまでもなく貴重だ。彼らの魅力の1つが、オーケストラを凌ぐ演奏ジャンルの幅広さ。今回も、パーセル、ドビュッシーなどのクラシックから、彼らのためのオリジナル曲、「二人でお茶を」やピアソラのタンゴまで、バラエティに富んだプログラムが用意されている。個々の名技、一糸乱れぬアンサンブル、マイルドかつ重厚なサウンド、そしてエンタテインメント性溢れるステージをお見逃しなく!©Peter Adamik沼尻竜典(指揮) トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア地元ゆかりのアーティストが集い、記念年を祝うガラ・コンサート文:長谷川京介第80回 定期演奏会 3/14(土)15:00 三鷹市芸術文化センター問 三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122 http://mitaka-sportsandculture.or.jp 世界で活躍する指揮者・沼尻竜典率いるトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニアは、今年11月に創立25周年を迎える。記念の年の第80回定期演奏会は、沼尻と同じ三鷹市出身のピアニスト横山幸雄と、三鷹市にある国際基督教大学卒のハーピスト吉野直子を迎えて、祝祭的なプログラムが組まれた。 最初は吉野直子がロドリーゴ「アランフェス協奏曲」ハープ版を演奏する。スペインの名ハーピスト、サバレタがロドリーゴに依頼したもので、元はギター協奏曲だが、ハープのために書かれたのではと思うほど見事な仕上がりになっている。吉野はイスラエル国際ハープ・コンクールに優勝、国内外の一流アーティストやオーケストラと共演を重ねてきた。その華麗な音色が作品の新たな魅力を引き出してくれるだろう。 続いてショパン国際ピアノ・コンクールで、日本人歴代最年少で入賞した横山幸雄がラヴェル「ピアノ協奏曲」を弾く。バスク地方の民謡やジャズなど、多彩な要素が用いられた華やかで優雅な作品。第2楽章のピアノとコーラングレの対話は特に美しい。ラヴェル直系のペルルミュテールにも学んだ横山のピアノに注目したい。 最後を飾るのは、モーツァルト「三大交響曲」のひとつ第39番。25年前、沼尻の呼びかけで、国内外の第一線で活躍する演奏家によりトウキョウ・モーツァルトプレーヤーズとしてスタートしたミタカ・フィルにとって、モーツァルトは最も得意とするレパートリーであり、名演が期待できる。横山幸雄 ©アールアンフィニ吉野直子 ©Akira Muto沼尻竜典 ©三浦興一

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