39Hakuju 東日本大震災 チャリティコンサート被災地に想いを寄せるアーティストたちが今年も集結文:東端哲也3/11(水)15:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp 各地に深刻な爪痕を残した東日本大震災からまもなく9年になるが、今なお仮設住宅などで不自由な生活を強いられている人がいることを忘れてはならない。被災地に支店を持つ白寿生科学研究所も「東北復興支援プロジェクト・被災地支援チーム」を組織して、今日まで継続的な支援を続けてきた。今年も3月11日に、福島県相馬市「学校法人みどり幼稚園」を支援する公演(チケット収益、会場設置の募金箱へ寄せられた募金を全額寄付)を、同社が運営するHakuju Hallで有志の演奏家たちの協力を得て開催することが決まっている。 出演者は同ホールにゆかりのある、それぞれの分野のスター演奏家ばかり。曲ごとに趣向を凝らした組み合わせで、ゴージャスなアンサンブルを形成して魅惑のプログラムを展開する。ギターの大萩康司とヴィオラの川本嘉子のデュオによる武満徹「海へ」や、小林美恵のヴァイオリンと長谷川陽子のチェロによるコダーイの二重奏曲なども聴きどころだが、メゾソプラノの林美智子が小林のヴァイオリンと三舩優子のピアノをバックに歌う、シューベルトとマスカーニの〈アヴェ・マリア〉も深い感動を呼びそうだ。また、近年テレビ番組やCM音楽の作曲家としての活躍もめざましい平野公崇が率いる「ブルーオーロラ サクソフォン・カルテット」が今年も登場。出演者全員によるビゼー《カルメン》(編曲:平野公崇)も、どのような構成になっているのかも含めて非常に楽しみだ。前回公演の様子 写真提供:Hakuju Hall飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団円熟のマエストロが神々しい音楽の高みへといざなう文:林 昌英第331回 定期演奏会 2/22(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp ベートーヴェン後期の宗教曲の大作「ミサ・ソレムニス」。不朽の名作だが、かなり手強い作品でもある。もちろん、柔和で美しい「キリエ」、輝かしい「グローリア」、ヴァイオリン・ソロが活躍する「ベネディクトゥス」など、直感的に楽しめる場面はたくさんある。しかし、ラテン語の典礼文の言葉に応じて音楽が細かく変化し続け、各所で複雑な対位法が駆使され、声楽にも歌唱困難な箇所が連続するなど、全体には一筋縄ではいかない難曲と言えるだろう。その真価を体験するには、全体を束ねる指揮者の深い理解と力量が必須となる。 その大作に接する好機となりそうな公演が、飯守泰次郎が指揮を執る2月の東京シティ・フィル定期演奏会である。ドイツ音楽において屈指の巨匠である飯守と、彼が桂冠名誉指揮者を務める同楽団の共演は、毎回のように聴衆に深い感銘を与えている。飯守は昨年12月、武蔵野音楽大学の創立90周年記念公演で本作を取り上げ、学生たちのエネルギーを引き出しながら作品の深奥に迫る好演を作り上げたばかり。今度は社会で年輪を重ねた演奏者たちとともに、ベートーヴェンの真髄にさらに肉迫していく。 4人のソリストには横山恵子、清水華澄、二塚直紀、大沼徹と、いま第一線で活躍中の名歌手がそろう。合唱は飯守との共演経験豊富な東京シティ・フィル・コーア。そして、好調を維持して充実の演奏を聴かせている東京シティ・フィルと、作品を知悉する飯守がすべてを包み込む。ベートーヴェン生誕250年を代表するような体験への期待が、いやがうえにも高まる。横山恵子清水華澄 ©Takehiko Matsumoto二塚直紀大沼 徹飯守泰次郎 ©金子 力
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