148CDSACDCDCDオペラ・イタリアーナ/上岡敏之&新日本フィルベートーヴェン:ピアノ三重奏曲「幽霊」 他/ヘーデンボルク・トリオ「花はただ咲く」~木下牧子/小原孝 歌曲集~/野崎由美&小原孝組曲 プラテーロとわたし/富川勝智ヴェルディ:歌劇《シチリア島の夕べの祈り》第3幕 バレエ音楽「四季」より/ケルビーニ:歌劇《メデア》序曲/ロッシーニ:歌劇《泥棒かささぎ》序曲/プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》間奏曲/エネスク:ルーマニア狂詩曲第1番 他上岡敏之(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」・第6番ヘーデンボルク・トリオ【ユリアン・洋・ヘーデンボルク(ピアノ) ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルク(ヴァイオリン) ベルンハルト・直樹・ヘーデンボルク(チェロ)】木下牧子:歌曲集「愛する歌」より〈ひばり〉〈海と涙と私と〉〈きんいろの太陽がもえる朝に〉〈地球の仲間〉〈犬が自分のしっぽをみて歌う歌〉、いっしょに、なにかが ほら、幼年/小原孝:金子みすゞの詩による歌曲集「おはなしのうたの」、花はただ咲く野崎由美(ソプラノ)小原孝(ピアノ)E.S.デ・ラ・マーサ:ロートレック讃歌、ハバネラ、組曲「プラテーロとわたし」/タレガ:マリエッタ、ラグリマ、夢~マズルカ、ロシータ/ドノスティア神父(R.S.デ・ラ・マーサ編):ドロール/セゴビア:光のない練習曲/モレーノ・トローバ:特性的小品集 他富川勝智(クラシックギター)収録:2019年1月、すみだトリフォニーホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00677 ¥3200+税カメラータ・トウキョウCMCD-28368 ¥2800+税ナミ・レコードWWCC-7913 ¥2500+税OMFKCD-2068 ¥2545+税もしあなたがオーケストラは聴きに行くけれどオペラには関心がないのなら、音楽の愉しみの半分しか知らないことになる。そんな人にこそ聴いてほしい。ヴェルディを中心にイタリア・オペラから選りすぐった楽しくゴージャスな管弦楽曲が満載だ。伸び伸びと歌う旋律、絶妙のテンポ。身体にダイレクトに訴えかけてきて聴いているうちにむずむずと踊りだしたくなる。それもそのはず、新日本フィルではドイツものを中心に取り組んでいる上岡敏之だが、ドイツでは歌劇場を長年率いてきた名オペラ指揮者でもあるのだ。劇場生活で培ったアイディアを惜しみなく投入した音楽が愉しくないわけがない。(江藤光紀)オーストリアの兄弟トリオであるヘーデンボルク・トリオ。長男の和樹(ヴァイオリン)と次男の直樹(チェロ)はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の団員であり、室内楽奏者としても積極的に活動している。彼らの演奏は柔らかくも芯のある音色、各モティーフの関連が明快に聞こえる構築的な音楽づくり、多彩な歌い回しなどが魅力的だ。これを実現できるのにはもちろん三男の洋(ピアノ)の力も大きい。クラシック以外の音楽にも造詣が深い彼が、時折自由にパッセージを“遊び”、演奏にゆらぎを与えることで、安定感がありつつも豊かな表情を作り出すことに成功している。(長井進之介)オペラの檜舞台で活躍する一方、日本語による歌曲の演奏に精力的に取り組む、ソプラノの野崎由美。NHK-FM『弾き語りフォーユー』の自在なプレイで知られるピアノの小原孝と共演し、木下牧子と小原自身の作品を特集した。ある時は、感情の奥へ染み渡り、ある時はコミカルに…。やなせたかしや金子みすゞ、相田みつをらが綴る言葉は、実に彩り豊か。野崎はこれらを決してヴィブラートへ“埋没”させず、クリアだが温かな歌い回しで一語一語の表情を丁寧に掬い取って、日本語の深遠を知らしめる。共演歴の長い小原も、そんな歌い手の意図を余さず汲み、変幻自在の響きで応える。(笹田和人)ギターの歴史、理論、奏法の専門家として、執筆、大学講師や教室主宰など、精力的な活動を繰り広げる富川勝智。その根源にはギタリストとしての卓越した技術と強い表現意欲があることは、このユニークなアルバムからも十分に伝わってくる。胸を打つ表題作をはじめ、いわゆる「土臭さ」よりも洒落たハーモニーやセンスを感じさせる、スペインの穏やかな佳品が多く並び、なんとも心地よい。スペイン音楽の専門家でもある富川は、くっきりと芯の強い美音で、骨太にして繊細な表現を実現。各曲がもつ妙味を深く味わわせてくれる。スペイン音楽の奥行きを感じられる1枚だ。(林 昌英)
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