eぶらあぼ 2020.2月号
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146CDCD秋光/田村幸代&渡辺研一郎モーツァルト:交響曲全集 プラス/飯森範親&山響ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1番・第2番 他/川久保賜紀・遠藤真理・三浦友理枝トリオ第7回仙台国際音楽コンクール シャノン・リー三善晃:四つの秋の歌/坪田豊治郎:秋/石桁真礼生:鎮魂詞(Requiem)/三宅悠太:和泉式部の和歌による5つの歌曲/小林秀雄:落葉松田村幸代(歌・朗読)渡辺研一郎(ピアノ)モーツァルト:交響曲 ニ長調 K.320(セレナード第9番「ポストホルン」第1曲、第5曲、第7曲)、同第40番 K.550(改訂版)、同イ短調 K.Anh.220(16a)「オーデンセ」飯森範親(指揮)山形交響楽団ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1番・第2番、2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品(ヴァイオリン・チェロ・ピアノ版)川久保賜紀(ヴァイオリン)遠藤真理(チェロ)三浦友理枝(ピアノ)バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番/モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 K.218シャノン・リー(ヴァイオリン)高関健(指揮)仙台フィルハーモニー管弦楽団日本アコースティックレコーズNARC-2152 ¥2800+税オクタヴィア・レコードOVCL-00711¥3200+税エイベックス・クラシックスAVCL-84101 ¥3000+税収録:2019年6月、日立システムズホール仙台(ライヴ)フォンテックFOCD-9824 ¥2400+税学生時代より1950年代以降の日本歌曲を中心に研鑽を積み、現在も若手作曲家の新作初演などに意欲的な歌い手の1stソロ・アルバム。平易な言葉で書かれた高田敏子の詩による三善晃の〈四つの秋の歌〉や“うた”と“語り”の狭間を行き交う坪田豊治郎の〈秋〉に始まり、合唱曲としても人気の小林秀雄〈落葉松〉で締める“季節もの”で集めた1枚。堕胎した児に寄せる母親の心情を綴った特異なテキストと石桁真礼生の技巧が光る〈鎮魂詞(Requiem)〉のような作品も透明感のある歌唱で聴かせる。2018年初演の三宅悠太〈和泉式部の和歌による5つの歌曲〉も必聴。 (東端哲也)2017年に好評を博した全集に続いて14枚目となる、飯森範親&山響のモーツァルト交響曲のCD。「ポストホルン」セレナードの第1、5、7曲による一作、クラリネットを加えた第40番の改訂版、偽作説が有力な「オーデンセ」交響曲という内容は、まさしく“番外編”に相応しい。演奏自体も生き生きとして密度が濃く、中でも溌剌たる「ポストホルン」作品は、魅力的な新交響曲として再生されている。40番も当コンビの長年の取り組みを反映した熟度を感じさせ、「オーデンセ」は明確に表出された楽曲の異質感が興味を煽る。選曲を含めて妙味十分の一枚。(柴田克彦)昨年結成10周年を迎えた川久保・遠藤・三浦のトリオが、大切な節目に挑んだのはショスタコーヴィチ。初恋の思いを秘めた作曲者17歳の第1番と、親友の死を受けて37歳で完成した第2番。両曲に込められたメッセージを、彼女たちならではのしなやかな美演でストレートに伝えてくれる。特に甘美なロマンとモダニズムの混合が魅力的な第1番が、これほどの水準で聴ける機会は貴重。名作第2番も音楽的な構築がすばらしく、パッサカリアは遅いテンポで歌いこむ。作品の愛好者にも未聴の方にもお薦めしたい好演だ。楽しい「5つの小品」も素敵な演奏で、遠藤のチェロの名技が光る。(林 昌英)伸びやかで凛々しい演奏だ。昨年開催された第7回仙台国際音楽コンクールのヴァイオリン部門最高位(第2位)に輝いたシャノン・リー(カナダ生まれ、アメリカで教育を受ける)がセミ・ファイナルで聴かせたバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番と、ファイナルでのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲K.218のライヴ録音である。コンクール本番の演奏だけに、バルトークは磨き上げた完成度が光り、安定感と緊張感のバランスに長けている。軽やかなモーツァルトのモティーフにも、自分の音の烙印を押すように、ふくよかな響きを持たせている。これからの伸びしろに期待が膨らむ一枚。(飯田有抄)SACDCD

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