142CDCDCDマーラー:交響曲第2番「復活」/佐渡裕&トーンキュンストラー管インプレッシヴ!/若﨑そらアーベントリート/三界秀実&加藤洋之BARITONISM Ⅱ―フランス作品集―/本堂誠マーラー:交響曲第2番「復活」佐渡裕(指揮)ダニエラ・ファリー(ソプラノ)エリーザベト・クールマン(メゾソプラノ)スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団トーンキュンストラー管弦楽団マリアン:ニヴルヘイム/コッペル:タランテッラ/ゴリンスキー:ルミノシティ/安倍圭子:マリンバ・ダモーレ、プリズム・ラプソディ/セジョルネ:マリンバと弦楽のための協奏曲若㟢そら(マリンバ)吉澤萌依子(ヴァイオリン)五十嵐稔(ピアノ)シューマン:幻想小曲集 op.73、アーベントリート/ヴィンディング:3つの幻想的小品/シューベルト(三界秀実編):アルペジョーネ・ソナタ三界秀実(クラリネット/バセット・クラリネット)加藤洋之(ピアノ)ドビュッシー:チェロ・ソナタ、夢想、レントよりも遅く/フォーレ:セレナード、エレジー、ロマンス/ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ(遺作)、ハバネラ形式の小品/サン=サーンス:ファゴット・ソナタ、「動物の謝肉祭」より〈白鳥〉本堂誠(バリトン・サクソフォン)羽石道代(ピアノ)収録:2019年5月、ウィーン(ライヴ)エイベックス・クラシックスAVCL-84104~5(2枚組) ¥2000+税コジマ録音ALCD-7249 ¥2800+税マイスター・ミュージックMM-4071 ¥3000+税オクタヴィア・レコードOVCC-00156 ¥3000+税佐渡裕、交響曲第5番に次ぐトーンキュンストラー管とのマーラーは「復活」。オケの柔和な響きを十全に活かし、決して力ずくに叫ばない美しい演奏。しかしそこは佐渡、緩急に富んだテンポ設定―殊に両端楽章―でこの大曲を見通しよくダレずに聴かせることに成功している。より大向う受けを狙った「派手な」演奏はあるだろうが、最近の佐渡の成熟はここでそういう次元を突き抜けた演奏を提示しうる段階にまで達している。声楽陣も優秀で、特にメゾソプラノのクールマンの正確かつ情感に満ちた歌唱を特筆。スロヴァキア・フィル合唱団も洗練一本槍ではない豪胆な迫力を示す。(藤原 聡)国内の名だたるコンクールで優秀な成績を収め、2018年に高校3年在学中にしてデビューリサイタルを開催し、一躍注目を集めた気鋭のマリンバ奏者の1stアルバムが早くも登場。新世代の若きヴィルトゥオーゾにふさわしい目の醒めるような現代曲の応酬。特に彼女の師であるマルチ打楽器奏者・上野信一とも親交厚いエマニュエル・セジョルネ作曲「マリンバと弦楽のための協奏曲」(ピアノ・リダクション版)のダイナミックで変幻自在な響きは圧巻。加えてNHK『きょうの料理』のテーマ演奏でも知られる巨匠・安倍圭子の書いた難易度の高い楽曲たちも聴き応えたっぷりだ。(東端哲也)都響の首席クラリネット奏者によるロマン派の作品集。シューマンとヴィンディング(ブラームスと同世代のデンマークの作曲家)のオリジナル曲は、憂いを帯びた音色と繊細な表情で耳を惹き付け、アンコール的に置かれたタイトル曲もしみじみとした味わいで魅了する。だが白眉は「アルペジョーネ・ソナタ」だ。ここで三界はバセット・クラリネットを用いて陰影と深みのある演奏を展開。同楽器のたっぷりした音も相まって、魅力的なオリジナル曲出現の感すら抱かせる。中でも哀感が滲む第2楽章は聴きもの。全体にバランス絶妙かつ雄弁な加藤のピアノも光る。(柴田克彦)木管楽器の中で、息遣いのニュアンスを最もヴィヴィッドに反映できるのは、サクソフォン属だろう。東京藝大からパリ国立高等音楽院などに学び、国際的に活躍するバリトン・サックスの名手、本堂誠。当盤では、本来は弦とピアノなどのために書かれた、近代フランス作品を取り上げた。紡がれる表現は、謳い出しから千変万化。特にドビュッシーやラヴェルのソナタでは、本堂の現地での生活経験を反映し、チェロやヴァイオリンなど原曲の独奏楽器をも超えた形で、“フランス語”を強く印象づける。感情過多な表現を排し、作品に相応しい、透明な空間を形創った羽石道代のピアノも秀逸。(寺西 肇)CD
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