75CD『アーベントリート』マイスター・ミュージックMM-4071¥3,000+税12/25(水)発売©Studio☆Di:VA三界秀実(クラリネット)クラリネットの響きの違いを存分に味わえる一枚取材・文:片桐卓也Interview 東京都交響楽団の首席クラリネット奏者として活躍し、「トリトン晴れた海のオーケストラ」にも参加、また、ソロでもアンサンブルでも活動を続ける三界秀実が2枚目となるソロ・アルバムをリリースする。題して『アーベントリート』。ロマン派の作品を中心に収録した。 「このアルバムを作ろうと思い立ったきっかけは、自分が使っている楽器の今の状態を“音”として残しておきたいということからでした。そこでコンサートでも共演しているピアニストの加藤洋之君ともいろいろと相談をして、シューマンを軸にしたアルバムが作りたいと考えて、レパートリーを決めていきました」 収録曲はシューマンの「幻想小曲集 op.73」「アーベントリート」、デンマーク出身の作曲家ヴィンディング「3つの幻想的小品」、そしてシューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」という魅力的なラインナップである。この中で「アルペジョーネ・ソナタ」(三界編)はバセット・クラリネットで演奏されているが、録音としては世界的に見ても珍しいものである。 「ふだん使っている楽器はバックーン社製のクラリネットなのですが、実はバックーン社でバセット・クラリネットの試作品を作るという話があり、その楽器が借りられたので、じゃあ、シューベルトの『アルペジョーネ』に取り組もうと思いました。加藤君からも『アルペジョーネそのものは、現在はもうほとんど演奏されない楽器なのだから、新しい楽器で挑戦するのも面白いのでは』と後押しされました」 通常のクラリネットより低音が3度低い音まで出るバセット・クラリネットによって、シューベルトの思い描いていた世界がより身近になったような気がする。ヴィンディングも19世紀後半としてはやや保守的ながら、香気溢れる作品で、なかなか聴くことができないレパートリーとして貴重な録音となる。 「もうひとつの特徴としては、マスター音源がDXD384KHzで録音されていることです。これはハイレゾ音源のフォーマットとして知られていますが、通常のCDで聴いても、その音質のクオリティの違いは分かるはず。ぜひ他の録音と聴き較べをしてほしいです」 ピアニストの加藤とは高校時代からの友人で、しかも誕生日が1日違いだという。「お互いの個性はかなり違っていて、こちらが音楽的に激しく動いても、彼はしっかりと落ち着いて受け止めてくれる感じがあります」。 そんな大人なデュオによるロマン派のクラリネット曲の世界には、新しい発見が満ちている。1/31(金)18:30 西新井文化ホール問 ギャラクシティ03-5242-8161 https://www.proarte.jp※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。カナディアン・ブラス 結成50周年記念ツアー祝! 結成50年 ブラス・クインテットの最高峰がやってくる文:東端哲也 1970年にテューバ奏者のチャック(チャールズ)・デーレンバックらによって結成されて以来、積極的な海外公演と精力的なレコーディング実績を誇る「世界一有名な金管五重奏団」が2020年に結成50周年記念ツアーを日本でも実施。現在のメンバーはデーレンバック以下、トランペットのブランドン・ライデナワーとケイレブ・ハドソン、ホルンのジェフ・ネルセン、トロンボーンのアキレス・リアルマコプーロスら精鋭揃い。フォーマルな黒いスーツにスニーカーというお馴染みの出で立ちで幅広いジャンルをカヴァーして世界中を魅了する彼ら。今回も「ダニー・ボーイ」(C.ハドソン編)からモーツァルト「トルコ行進曲」(A.フランケンポール編)、ピアソラ「リベルタンゴ」(J.バーグステイラー編)、ブラームス「11のコラール前奏曲第10番」(R.ザウアー編)と盛りだくさん。東京2公演以外にも滋賀、島根、茨城、山形、大阪と全7公演を予定。ブラス・ファンならずともこの機会にぜひ!
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