eぶらあぼ 2020.1月号
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73東京交響楽団 第677回 定期演奏会 1/25(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp角田祐子(ソプラノ)ビューヒナーとリームが作り出す深淵な世界を歌う取材・文:柴辻純子Interview 「現代オペラを歌うとき、歌い手は曲を頭で構築するのではなく、現代音楽だからこそ自らが自由になり、テキストを感情とともに表現して初めて聴衆の皆さんの心に語りかけることができると思います」と語るドイツ在住のソプラノ、角田祐子が、1月の東京交響楽団の定期演奏会に再登場する。長年シュトゥットガルト州立歌劇場の専属ソリストを務め、2016年にドイツ宮廷歌手の称号を授与。東響定期へは、18年の飯森範親指揮のウド・ツィンマーマン《白いバラ》に続いての出演となる。 今回曲目には、19世紀ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナーの戯曲『ダントンの死』を題材にした作品が2つ含まれるが、アイネムの《ダントンの死》管弦楽組曲(日本初演)とともに取り上げられるリームの 「道、リュシール」は、『ダントンの死』第4幕の最終場面(ダントンとともに処刑された夫の亡骸を引き取りに行く妻リュシールの独白)をもとに書かれた、ソプラノと管弦楽のための作品である。ビューヒナーと言えば、ベルクの歌劇《ヴォツェック》の原作者であり、リームの代表作、歌劇《ヤーコプ・レンツ》はビューヒナーの小説を基に作曲された。 「リームの作品は、今回が初めてですが、この作品は、ベルクの影響を強く受けていると思います。声楽パートは2種類あり、11年7月のカールスルーエでの初演で歌ったソプラノ歌手はとても軽い声だったので、オリジナル版とは異なる旋律と音域で歌いました。私は、自分の声に合うように2つの版を混合して歌います。ビューヒナーの作品におけるリュシールは、革命の狂気の中で一見彼女が正気でないように見える——実は一番正気を保っていた人だったのではないかと私は感じています。だからこそ最後に殺されることに全く恐れを抱いていないのが興味深いです」 近年はフリーランスとしてドイツを拠点に活躍の幅を広げる角田。19年はルツェルン音楽祭やベルリン音楽祭等に出演し、シューベルトとラッヘンマンを組み合わせるなど、同時代の作曲家を精力的に取り上げた。 「菅原幸子さんやピエール=ロラン・エマール氏といった超一流のピアニストとの共演はとても刺激的でした。ラッヘンマンの作品は、緻密に隙なく作られ、1ミリのズレも許されない中で、それでも自分なりの解釈をしっかり表現したいというところが、数学的に楽譜を捉えることが全くできない私には特に難しかったですね。でも、自分の理想とする演奏に辿り着き、だからラッヘンマン氏が気に入ってくださっているのだと(勝手に)思っています!」 1月定期は飯森とも再共演となる。 「マエストロはテキストをとても大事にされる方で、ドイツ語でいうFarbenreich(色彩豊か)に作られた音楽は、スケールが大きくて繊細です。マエストロの要求を完璧に実現される東響のカラフルで温かい響きも忘れられません。いまから共演がとても楽しみです」アーティス ピアノ アンサンブル2台8手から繰り出されるダイナミックなサウンドに酔いしれる文:長井進之介 「アーティス ピアノ アンサンブル」は、ミュンヘン国立音楽大学で学び、国際ロータリー財団元奨学生の4名のピアニストで結成された8手ピアノアンサンブル。メンバーは市村ディットマン朋子、金井玲子、可児亜理、吉井美由紀。それぞれが日本とドイツを中心に国際的な演奏活動、教育活動を展開しているピアニストだ。2011年の結成以降、1台4手や2台4手、2台8手と様々なアンサンブルによる公演を日本とドイツで定期的に行ってきた彼女たちだが、意外にも今回が初の東京公演とな2/1(土)14:00 東京文化会館(小)問 オーパス・ワン03-5577-2072http://opus-one.jpる。毎回多種多様なプログラムで魅せてきたが、今回もスメタナの「モルダウ」(J.シーグニッツ編)やドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」(以上藤森さな編)をはじめ、吹奏楽作品で高い人気を誇る作曲家、長生淳による「旅」など、国際色豊かで華やかな内容となっている。オーケストラ編曲作品が多く並ぶプログラムで、“楽器の王様”ピアノの魅力と可能性を改めて実感できるだろう。左より:吉井美由紀、市村ディットマン朋子、可児亜理、金井玲子©Martin Sigmund

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