70クラシック・ヨコハマ 生きる ~2020 New Year 若い命を支えるコンサート人気奏者が熱いメッセージを込めたクラシック・エイド文:林 昌英1/19(日)15:00 横浜みなとみらいホール問 神奈川芸術協会045-453-5080 http://yokohama.mainichi-classic.jp 毎日新聞社が1996年から継続している、小児がん征圧キャンペーン「生きる」。がんと闘う子どもたちを支援するためのキャンペーンであり、紙面での情報発信や募金活動のほか、「生きる 若い命を支えるコンサート」を開催し、音楽作品と演奏家たちのエネルギーで闘病者を力づけている。1月には横浜みなとみらいホールで、豪華出演者たちが新年の華やぎと支援のメッセージを熱く伝えてくれる。 今回は、いま最高の人気を集めるふたり、ピアノの仲道郁代とヴァイオリンの石田泰尚が登場することで話題となっている。仲道が弾くのはグリーグのピアノ協奏曲。小学6年から取り組み始めて「アメリカの中学校に転校した際、これを弾いたら喜ばれて一気に溶け込めた」思い出の曲という。「心と心を直接つなぐ音楽の力」を実感できるような、仲道自身の思いもこめられた美しい演奏が聴けそうだ。石田は神奈川フィルのソロ・コンサートマスターで、近年は硬派弦楽アンサンブル「石田組」を結成、11月にはNHKのテレビ番組でフィーチャーされて全国区で評判になった名物奏者でもある。今回は神奈川フィルのメンバーとともにヴィヴァルディ「四季」を取り上げ、独特の美音と音楽への愛があふれるパフォーマンスで、会場を盛り上げてくれるに違いない。 オーケストラは神奈川フィル、指揮者はかつて同楽団で副指揮者を務めていた永峰大輔。さらに、第73回全日本学生音楽コンクールの入賞者も出演予定で、同世代の闘病者に向けて瑞々しいパフォーマンスを披露する。石田泰尚 ©藤本史昭台湾フィルハーモニック室内楽コンサート躍進著しい台湾フィル・メンバーらによる室内楽の夕べ文:寺西 肇1/21(火)19:00 Hakuju Hall問 アスペン03-5467-0081 https://www.aspen.jp 東洋人だからこその、繊細な感性で紡がれる調べを共有したい。躍進著しいアジアのオーケストラの中にあって、特に国際的な評価を高めているのが、台湾フィルハーモニック。好評を博した2019年春の日本ツアーで、ソリストを務めたリチャード・リンら、楽団ゆかりの名手や首席級が集う室内楽の夕べが開かれる。 1986年に設立され、ウィーンをはじめ欧州やアジアでも公演を行い、独特の感性に基づく熱演が、大きな反響を呼ぶ台湾フィル。「私たちアジア人には、一度に全てを語り尽くさぬ、ユニークな芸術性がある。だから、時に西洋の音楽家を凌駕する解釈も可能です」と、音楽監督のリュウ・シャオチャは言う。 「東京オリンピック・イヤー」の文化イベントの一環として、台湾文化部(文化省)の支援で開く、今回のコンサート。2018年にインディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールを制した俊英リンやアメリカで活躍するチェリスト、フェリックス・ファンをはじめ、首席クラリネット奏者のメイ=リン・ジュ、副コンサートマスターを務めるヴァイオリンのハオ=トゥン・テンと副首席チェロのイ=シエン・リエンら台湾の名手に加え、さらに日本からヴィオラの大山平一郎らも参加する。 ステージでは、欧米でもその作品が演奏され活躍する台湾の作曲家シアン・チャンが、独自の言語や文化を保持する民族「客家」出身の画家ルーソン・シャオの絵画にインスパイアされて作曲した「クラリネットと弦楽四重奏のための『捻土』」を世界初演。そして、アメリカを中心に国際的に活躍する、ピアニストのペイ=ヤオ・ワンを迎えて、ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」とドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」を披露する。フェリックス・ファン永峰大輔仲道郁代 ©Kiyotaka Saitoメイ=リン・ジュペイ=ヤオ・ワン大山平一郎 ©Tsuruリチャード・リン
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