53キース・ロックハート(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団オーケストラだってグルーヴする!!文:林 昌英定期演奏会 ルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉第28回1/24(金)、1/25(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp 上岡敏之が音楽監督に就任して以来、毎シーズンアメリカ・プロが組まれてきた新日本フィル。1月の〈ルビー〉には、1995年に35歳の若さで由緒あるボストン・ポップス・オーケストラの第20代指揮者に就任した、キース・ロックハートが登壇。かのアーサー・フィドラーとジョン・ウィリアムズについで、わずか3人目となる「ボストン・ポップス・オーケストラ指揮者」という正式称号が与えられたほどの名匠で、いま最もアメリカものを聴きたい指揮者である。 演目がまたいい。ガーシュウィンとバーンスタイン、20世紀前後半のアメリカを代表するビッグネームの作品が組み合わせられ、名曲だけど少しひねりのある絶妙な4曲が並んだ。バーンスタインは、「キャンディード」序曲こそ人気演目だが、「オン・ザ・タウン」は誰もが楽しめる洒落た作品ながら実演は多くなく、嬉しい選曲だ(ロックハートによる初バージョンとのこと!)。ガーシュウィンは、本格的な名作「ピアノ協奏曲 ヘ調」を、本場でも別格の存在感を誇る小曽根真が弾くのも楽しみ。ジャズとクラシックの要素を併せ持つ協奏曲には理想のプレイヤーで、“これぞ小曽根!”というパフォーマンスに期待が高まる。そしてメインは「パリのアメリカ人」。同名ミュージカルのブームで一般にも急速に知られるようになった楽しい一編で、ロックハートのタクトで決定的な演奏を体験できそうだ。1月のマチネは、アメリカ音楽の粋を知り尽くしたアーティストによる、最高のエンターテインメントを!小曽根 真 ©中村風詩人ベートーヴェン生誕250周年記念 ミーツ・ベートーヴェン・シリーズ Vol.1仲道郁代(フォルテピアノ/ピアノ)ベートーヴェンとピアノの深い関係を探る文:片桐卓也1/10(金)19:00 東京芸術劇場コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 https://www.geigeki.jp 生誕250年を迎えるベートーヴェンの作品を全5回にわたって紹介する東京芸術劇場の「ミーツ・ベートーヴェン・シリーズ」。その第1回には日本を代表するピアニストの一人、仲道郁代が登場する。作曲家がその作品を書いた時代にどんな楽器が使われていたかに深く関心を持ち、自分でもオリジナル楽器を所蔵する仲道。このコンサートでもベートーヴェンと同時代に使われていたシュタインとブロードウッドという彼女自身の楽器を弾き、同時に現代のピアノであるヤマハ「CFX」も使って、いわゆる「弾き較べ」にトライする。 まずシュタインでベートーヴェンの比較的初期の名作であるピアノ・ソナタ「悲愴」と「月光」(第1楽章のみ)を、ブロードウッドで後期のピアノ・ソナタ第30番を弾く。そして、ヤマハ「CFX」で「月光」全曲と「ワルトシュタイン」を演奏する。ベートーヴェンの生きていた時代はピアノが大きく進化する時代で、その楽器によってベートーヴェンの音楽作りも変わっていったと言われる。シュタインとブロードウッドという楽器の違いで、ベートーヴェンがどんな発想の転換を成し遂げたのかに思いを馳せ、現代の楽器との弾き較べでは、ベートーヴェンの時代を超える創造力を知る、そんな興味深いコンサートになりそうだ。 第2回以降には、清塚信也、山中千尋、山下洋輔、清水和音が登場。ベートーヴェンの世界を深く掘り下げる。改めて音楽の巨人の素顔に迫る聴き逃せないシリーズとなる。©Kiyotaka Saitoキース・ロックハート ©Michael Lutch
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