50Opus One Live @ Hakuju Hall次代を担うアーティストたちが繰り広げる熱いパフォーマンス文:宮本 明Vol.3 石上真由子 1/24(金) Vol.4 秋田勇魚 2/28(金) Vol.5 鈴木玲奈 4/21(火)各日19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp 日本コロムビアの「オーパス・ワン」(Opus 1、つまり作品1)は、次世代のクラシック界を担う若手アーティストに光を当てる新レーベル。第1弾として、2019年に5人の新星たちのデビュー盤を同時リリース。同年秋シーズンからは、彼らの演奏をライヴで目の当たりにできる、Hakuju Hallとのコラボレーションもスタートした。 レギュレーションとしてCD収録曲を1曲ずつ入れながら、全員がまた別の面を見せるコンサート・シリーズ。9月の笹沼樹(チェロ)、12月の古海行子(ピアノ)に続いて、20年には1月に石上真由子(ヴァイオリン)、2月に秋田勇魚(ギター)、4月に鈴木玲奈(ソプラノ)が登場。なんと医学部で学び医師免許も取得したという石上は、悩んだ末に音楽一本に道を定めた異色の経歴の持ち主。デビュー盤のタイトル曲でもあるヤナーチェクのソナタとともにラヴェルのソナタを柱にした興味深いプログラムを聴かせる。クジラの古名の「勇魚(いさな)」というスケール大きな名の秋田のギターは、しかし繊細でしなやか。一般大学に籍を残しつつ現在パリで研鑽を積む。そして、目の覚めるような鮮やかなコロラトゥーラを駆使してすでにコンクールやオペラ、コンサートの舞台で注目すべき実績を残している鈴木は、つい最近ウィーン留学から帰国したばかり。R.シュトラウスの歌曲とオペレッタ中心のウィーン・プロに、その経験が結実するはずだ。彼らの洋洋たる新しい道を見守りたい。鈴木玲奈フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮) 東京都交響楽団バロックからラヴェルまで〜バレエ音楽に聴く色彩の魅力文:江藤光紀都響スペシャル 2/2(日)14:00 サントリーホール第896回 定期演奏会Aシリーズ 2/3(月)19:00 東京文化会館問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp 2016年の初共演以来、3シーズンぶりの登場となるフランソワ=グザヴィエ・ロト。今回はフランス・バレエ音楽を集めた凝ったプログラミングで、切れ味鋭い解釈を見せた前回からさらに磨きがかかりそう。 前半はバロック作品を二つ。ラモー「優雅なインドの国々」組曲。青春や美の神々のもとにヨーロッパ各国から青年たちが集い、キューピッドたちが世界へと遣わされる。インドとはヨーロッパ以外の地域のことを指し、ラモーの想像力がとらえたバロック的コスモポリタニズム、エキゾティシズムが楽しめる。 ルベル「四大元素」は、現代音楽を思わせるすさまじい不協和音で始まる。これは天地開闢(かいびゃく)前のカオスを表しているのだが、知らずに聴くとびっくりするに違いない。地、水、火、大気が様々な舞曲へと発展し、命が躍動する。 後半は「ダフニスとクロエ」。バロック的感性に終生シンパシーを抱いていたラヴェルが、魔術的なオーケストレーションの粋を尽くして古代ギリシャの神話的世界を描き出す。合唱付き(栗友会合唱団)の全曲版という豪華さだ。 ロトと言えば、若いころはガーディナーの助手を務め、03年からは楽曲をその同時代の楽器で演奏する管弦楽団レ・シエクルを創設。とりわけクラシック・モダンの名品を当時の楽器で演奏することで、現代と地続きのように思われていた歴史の層を浮かび上がらせた(「ダフニスとクロエ」もレ・シエクルで録音済み)。今回はモダンオケでのアプローチとなるが、都響の性能をぎりぎりまで引き出してくれるだろう。フランソワ=グザヴィエ・ロト ©Julien MIGNOT秋田勇魚石上真由子
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