46小林研一郎(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団信頼厚いコンビならではの“真打ちの名演”文:林 昌英第717回 東京定期演奏会1/17(金)19:00、1/18(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://www.japanphil.or.jp 何度も名演を積み重ねてきて、そのことをだれもが知っていて、それでも期待を上回るような演奏をさらに重ねていく。指揮者と楽曲におけるそんな関係性の代表例が、マエストロ小林研一郎によるスメタナ「わが祖国」である、と言っても過言ではないだろう。チェコをはじめ東欧と関係の深い小林の、自他共に認める得意演目であり、2002年には最高の舞台「プラハの春」オープニング・コンサート(「わが祖国」で開幕するのが恒例)にも登場。日本でもチェコ・フィルとの同演目で会場が沸き上がるような名演を披露、さらには国内の複数のオーケストラでもこの曲を指揮して毎回のように大評判になっている。常に「名演」を期待されながら、それに応え続けてきた。 この1月には、小林と日本フィルの「わが祖国」が実現する。もとより長年にわたり多くの名作で熱演を積み重ねてきた、深く信頼しあうコンビである。ある意味では“当然のように”特別な演奏が期待される条件がそろったわけだが、おそらく今回もそれを上回るような体験ができるはず。しかも、持ち前の炎のような情熱と、近年の落ち着いた深みが感じられる、予想できるようでできない、今だからこそ聴ける小林の新境地も示されるだろう。 これまで聴いてきた人にとっても注目の機会なのはもちろんだが、もし「コバケンのわが祖国」を体験したことがなければ、とにかく聴いてほしい公演となる。後に語り継がれるような「真打ちの名演」というものを体験できる機会は、そう多くはない。小林研一郎 ©山本倫子夜クラシック Vol.24 萩原麻未・辻 彩奈・安達真理・横坂 源・加藤雄太人気奏者たちが極上の“夜”を演出文:柴田克彦1/17(金)19:30 文京シビックホール問 シビックチケット03-5803-1111 https://www.b-academy.jp/hall/ 平日昼間のコンサートが増える中、夜しか時間がとれない方、夜にこそ音楽を聴きたい方の強い味方となるのが文京シビックホールの「夜クラシック」。年4回の同シリーズは、最寄り駅が複数ある都心ホールで19時30分に始まり、しかも人気・実力派アーティストがトークを交えながら名曲を披露するとあって、広い層から大好評を博している。 今年度の最後を飾る1月の公演は、若手実力派5人による室内楽。2010年ジュネーヴ国際コンクール優勝以来、国内外で活躍する萩原麻未(ピアノ)、16年モントリオール国際コンクール優勝後、スター街道を歩む辻彩奈(ヴァイオリン)、P.ヤルヴィ&エストニア・フェスティバル管や室内楽で名演奏を続ける安達真理(ヴィオラ)、10年ミュンヘン国際コンクール第2位受賞後、国際的キャリアを重ねる横坂源(チェロ)、著名オケの客演首席奏者・室内楽奏者として引く手数多の加藤雄太(コントラバス)と、豪華な顔ぶれが揃っている。 プログラムは、最初に「夜クラ」恒例のドビュッシー「月の光」を演奏。ピアノに酔いしれた後は、エルンストの超絶技巧ヴァイオリン曲とバッハの無伴奏チェロの看板曲で弦楽器独奏の妙技、シューベルトの弦楽三重奏曲で弦のブレンド、同じくピアノ五重奏曲「ます」で重層的サウンドを堪能できる、多種多彩なラインナップが用意されている。中心をなすシューベルトの音楽が、歌に溢れた親しみやすさと室内楽の醍醐味を併せ持つのは言わずもがな。各々ふだんはリサイタルを行う名手たちが触発し合いながら奏でる興趣満点の一夜を、大いに満喫したい。左より:萩原麻未、辻 彩奈、安達真理、加藤雄太、横坂 源 ©Hikaru Hoshi
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