45コルネリウス・マイスター(指揮) 読売日本交響楽団多様な響きが現出する稀有の意欲的プログラム文:柴田克彦第595回 定期演奏会 2/28(金)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp 読売日本交響楽団の2月定期は、首席客演指揮者コルネリウス・マイスターが登場。刺激的なプログラムを披露する。ドイツ生まれの彼は、ウィーン放送響の首席指揮者兼芸術監督を経て、シュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督を務める気鋭の実力者。2017年現ポストに就任した読響では、ストレートな表現の中にもコクのある演奏を聴かせ、特に18年6月のR.シュトラウス・プロでは、オペラの比較的レアな管弦楽版などでゴージャスかつ生気漲る快演を展開した。それだけに今回の凝った演目への期待も大きい。 1曲目はスイスの現代作曲家ヘフティの「変化」(日本初演)。2011年作のこの曲は、多彩な音響が交錯する約15分の鮮烈な音楽で、生演奏が耳目ともに楽しみだ。続いてのベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」は、アルマ・マーラーの急逝した娘マノンに捧げると同時に、自身のレクイエムを予感した音楽で、浄化されたトーンが胸に染みる。独奏はドイツが生んだ現代屈指のヴァイオリニスト、クリスティアン・テツラフ。シャープかつ迫真的な表現で魅了し、本作も得意としている彼の演奏は必聴だ。後半はブルックナーの交響曲第2番(ノヴァーク版)。滅多に演奏されない曲だが、後の名曲のスタイルを最初に示した重要作で、中でも緩徐楽章はすこぶる美しい。ここはマイスターの王道アプローチと、幾多の名匠のもとで積み重ねてきた読響一流のブルックナー・サウンドが融合した、日本では稀な第2番の真髄体験が実現するに違いない。本公演は、3曲いずれもライヴ演奏に接してみたい、興味津々のコンサートだ。クリスティアン・テツラフ ©Giorgia Bertazziトッパンホール ニューイヤーコンサート 20203人のソリストが競演する刺激的なステージで新年を祝う文:長谷川京介1/8(水)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com トッパンホールのニューイヤーコンサートは、毎回クラシック通を唸らせる凝ったプログラムで知られるが、今回はトッパンホール チェンバー・オーケストラ(在京オケの主要メンバーなどで構成)によるヴィヴァルディ「四季」など、華やかな協奏曲が並ぶ。しかし、めったに聴けないヨハン・ゴットリープ・グラウンのヴァイオリン協奏曲イ長調がある点は、やはり一味違う。選曲はソリストのドイツ・カンマーフィルのコンサートマスター、ダニエル・ゼペックの希望によるもの。ゼペックに言わせると「グラウンはヴィヴァルディのようで、もっと“いっちゃってる”」とのこと。この曲の録音もあるゼペックの切れ味鋭いヴァイオリンが楽しみだ。 ドイツを代表するチェリストで、シュターツカペレ・ドレスデンの首席としても活躍したペーター・ブルンズは、ハイドンのチェロ協奏曲第1番を弾く。2018年に共演したトッパンホール チェンバー・オーケストラから大好評で、今回の再演が決まった。 ヴィヴァルディ「四季」のソロを務めるのは、山根一仁。10年、中学3年生で第79回日本音楽コンクール第1位、岩谷賞など5つの副賞も受賞。いまや日本の若手ヴァイオリニストを代表する一人となった。ゼペック率いるトッパンホール チェンバー・オーケストラにはブルンズも加わる。山根、ゼペック、ブルンズの間にどのような化学反応が生まれるのだろう。スリリングな「四季」になることは間違いない。このコンサートは聴き逃せない。左より:ダニエル・ゼペック ©Marco Borggreve/ペーター・ブルンズ ©Jens Rötzsch/山根一仁 ©宮森庸輔コルネリウス・マイスター ©Marco Borggreve
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