滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールは、関西随一のオペラ劇場として、一流のオペラやバレエに加えコンサートも開催。また、国内外の実力派アーティストが充実したアンサンブルやソロを披露するほか、講座なども開催しています。このコーナーではびわ湖ホールが主催する注目の公演をご紹介します。びわ湖ホールPreviewびわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 https://www.biwako-hall.or.jp/2/2(日)15:00 びわ湖ホールズムが展開される。もともとリズム感のよい阪は、鮮烈なリズムの切れ味を聴かせてくれるだろう。そしてその円熟した解釈と相まって、いかにベートーヴェンらしい重層的な交響曲の構築を聴かせてくれるか、大いに期待できる。オーケストラは、ここのところ定期演奏会やハイドン・マラソンで充実ぶりが際立つ日本センチュリー響だけに、精緻なアンサンブルを誇るこのオーケストラからどのような響きを引き出すかも注目される。 ベートーヴェンのもう一つの傑作、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」のソリストは、石井楓子。石井は日本音楽コンクールで優勝し、国内の一流オーケストラや海外のオーケストラと共演を重ねている。ベートーヴェンの協奏曲の最高峰といわれる「皇帝」は、きらびやかなカデンツァと雄大なオーケストラのトゥッティで始まる壮大な作品のイメージが強い。しかし実際には、繊細なタッチや独特の転調による多彩な音色変化を要求される箇所も多い。石井の若々しい感性が、そのようなデリケートな表現を生み出してくれるのではないか。瑞々しい表情から華麗な超絶技巧まで、聴き手を存分に楽しませてくれるに違いない。今回もびわ湖ホールならではの名曲コンサートになりそうだ。期待は高まるばかりである。楽聖の2大名曲でアニバーサリーを寿ぐ文:横原千史びわ湖ホール 名曲コンサート 華麗なるオーケストラの世界 vol.2 〜生誕250年〜 オール・ベートーヴェン・プログラム びわ湖ホール 名曲コンサート「華麗なるオーケストラの世界」の第2回目は、生誕250年を迎えるベートーヴェン・プログラム。前回に続いて阪哲朗がタクトを執る。オーケストラは日本センチュリー交響楽団。阪は、ブザンソン指揮者コンクール優勝後、若い頃に大阪のオーケストラと合唱団で、ヴェルディ 「レクイエム」やブラームス「ドイツ・レクイエム」などの大作を取り上げ、その緻密な名演が記憶に残っている。その後、ドイツに活動の中心の場を移し、ベルリンのコーミッシェ・オーパーやウィーンのフォルクスオーパーでの目覚しい活躍が評判となった。そしてアイゼナハとレーゲンスブルクの劇場音楽総監督(GMD)となり、これまで70演目以上のオペラを手がけてきた。そして2019年に帰国し、山形交響楽団常任指揮者に就任した。 過去の名指揮者でもフルトヴェングラー、ワルター、ベーム、カラヤンなど、若い頃から劇場指揮者のキャリアを重ねて、大指揮者になった巨匠は少なくない。阪哲朗もいよいよ巨匠への道を歩み始めたと言っていいのではないか。これまで四半世紀にわたって培ってきた劇場指揮者としての経験が、オーケストラの指揮にも十分に生かされるに違いない。その成果は今年の名曲コンサートの演奏や山響との演奏にも如実に表れている。 ベートーヴェンの交響曲第7番は、ワーグナーが「舞踏の聖化」と呼んだように、全曲にわたって様々な舞踏のリ日本センチュリー交響楽団 ©s.yamamoto石井楓子 ©Miki Buckland阪 哲朗 ©Florian Hammerich
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