eぶらあぼ 2020.1月号
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166CDCDCD浜匡子 ヴァイオリン・リサイタル 藤井一興とともにクリスマス・ソング・ブック/アウラモーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》(全曲)/モーツァルト・シンガーズ・ジャパンシューベルト:冬の旅/小松英典&イェルク・デームスJ.S.バッハ:ヴァイオリンとピアノ(チェンバロ)のためのソナタ第2番 BWV1015/モーツァルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第18番 K.301/ベートーヴェン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第9番「クロイツェル」/エルガー:愛の挨拶 他浜匡子(ヴァイオリン)藤井一興(ピアノ)G.マイケル:ラスト・クリスマス/B.ゲルドフ/M.ユーロ:ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス(以上坂部剛編)/J.レノン/Y.オノ(長生淳編):ハッピー・クリスマス/坂本龍一:戦場のメリークリスマス/F.マーキュリー(以上坂部編):ボヘミアン・ラプソディ 他アウラ【畠山真央 池田有希 菊地薫音 奥脇泉 星野典子】モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》モーツァルト・シンガーズ・ジャパン【宮本益光(バリトン) 針生美智子 文屋小百合 三井清夏(以上ソプラノ) 望月哲也(テノール) 原田圭 近藤圭(以上バリトン) 伊藤純(バス) 石野真穂(ピアノ)】シューベルト:歌曲集「冬の旅」、歌曲集「白鳥の歌」より〈街〉、さすらい人の夜の歌小松英典(バリトン)イェルク・デームス(ピアノ)ナミ・レコードWWCC-7912 ¥2500+税トエラクラシックスTEAR-5 ¥2600+税オクタヴィア・レコードOVCL-00705(2枚組) ¥3800+税収録:2000年11月、東京オペラシティ コンサートホール(ライヴ)コジマ録音ALCD-9208 ¥2800+税一音ごとに心を込めた謳い回しに、作品に対する誠実さがひしひしと伝わってくる。浜匡子は、東京と長野を中心に活躍する実力派ヴァイオリニスト。3つのソナタにあっては、拍節感やヴィブラート遣いなど、バロックや古典派の基本的マナーはわきまえつつ、安易に流行りのピリオド奏法に寄せはしない。それでいて、例えば、スラーで結ばれた音型をキーワードのごとく浮き彫りにしたり、上拍にスタッカートを穿ったりと随所に独自の創意を施し、魅力的に輝かせる。共演の藤井一興も、理知的な快演。特に、バッハとベートーヴェンの最終楽章で、対位法を際立たせるプレイは巧みだ。 (笹田和人)2003年の結成以来、メンバーの顔ぶれを変えつつ完全なる無伴奏(ア・カペラ)で名曲たちと向き合い、そのアンサンブルの見事さから「ヴォイス・オーケストラ」とも称される女性5人組。最新作は2度目のクリスマス・アルバムだが、今回は20世紀に誕生した作品ばかりを集めたのがポイント。スタンダードなナンバーも楽しいが、ワム!やバンド・エイド、レノン&ヨーコら新定番曲でも、原曲に敬意を払いつつ新鮮な魅力を紡ぎ出すことに成功している。清らかで透明感あふれる〈戦場のメリークリスマス〉も圧巻だが、最後〈ボヘミアン・ラプソディ〉には意表を突かれた! (東端哲也)二期会の精鋭たちとピアノによるモーツァルト・オペラの第2弾。指揮者はおらず、人気歌手の宮本益光が音楽監督を務めている。このスタイルならば、声と歌が通常よりクローズアップされるのは当然のこと。バックがピアノだけなので、レチタティーヴォが歌の部分と一体化し、“歌芝居”がずっと続いていくかのような印象がもたらされる。この点が新感触であり、本作の妙味でもある。演奏自体は引き締まった運びでスピーディに進行し、皆が粒の揃った艶やかな歌唱を展開。雄弁・闊達なピアノの妙演も相まって、身構えずにモーツァルトの名作の醍醐味を味わえる。(柴田克彦)2000年11月に東京オペラシティで行われた小松英典とイェルク・デームスの「冬の旅」のライヴ録音が、この4月に亡くなったデームスの追悼盤として初登場。極めて整ったディクションを駆使し独墺圏の歌手に勝るとも劣らぬ「正統的な」歌唱を聴かせる小松の名唱もさることながら、その小松にどこまでも親密に寄り添って、ある時には非常に内省的に、またある時には非常に切迫した表現を披露するデームスのサポートはこの曲/ドイツリートを知り尽くした練達の業としか言いようがない。これがこの「冬の旅」にどれだけの深みと拡がりを提供していることか。デームス追悼盤として誠に相応しい1枚。(藤原 聡)CD

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