164SACDCDCDアイヴズ:ヴァイオリンとピアノのための4つのソナタ/ROSCOベルカント/砂川涼子ショパン 芸術の精華~晩年の作品より~/鮫島明子白鳥の歌 オーボエとギターのための作品集/池田昭子&福田進一アイヴズ:ソナタ第1番~第4番「野外伝道集会の子供の日」ROSCO【甲斐史子(ヴァイオリン) 大須賀かおり(ピアノ)】プッチーニ:《ラ・ボエーム》より〈私の名はミミ〉、《トゥーランドット》より〈氷のような姫君の心も〉/ビゼー:《カルメン》より〈恐くないと言ったけれど〉/オッフェンバック:《ホフマン物語》より〈キジ鳩は逃げた〉/ヴォルフ=フェラーリ:《イル・カンピエッロ》より〈さようなら、愛しのヴェネツィア〉 他砂川涼子(ソプラノ)園田隆一郎(ピアノ)ショパン:ピアノ・ソナタ第3番、マズルカ第36番~第38番、舟歌、子守歌、幻想ポロネーズ鮫島明子(ピアノ)グリーンスリーブス/J.S.バッハ/グノー(福田進一編):アヴェ・マリア/シューベルト(コスト編):「白鳥の歌」より/コスト:慰め、悔悟/ピルス:オーボエとギターのためのソナチネ/グリーグ(ミューラー=ペリング編):「抒情小曲集」より〈ノルウェーの旋律〉〈思い出〉 他池田昭子(オーボエ/イングリッシュホルン)福田進一(ギター)コジマ録音ALCD-7248 ¥2700+税アールアンフィニMECO-1056 ¥3000+税ライヴノーツWWCC-7910 ¥2500+税マイスター・ミュージックMM-4069 ¥3000+税アイヴズをどこか座りが悪い作曲家と捉えている人は、このディスクを手にするといい。その音楽思考のエッセンスが表れているから。旋律線はシンプルで、素朴な節回しやジャジーなリズムも登場するが、音楽は全体としてとにかく過剰。同時代の欧州の民族音楽ブームとも無調音楽とも異質な、クールで熱いモダニズムが20世紀初頭のアメリカで芽吹いていたことにわくわくする。特定の様式感では捉えがたいこの音楽に、ROSCOの二人は自然体でアプローチし、すっきりと聴かせてくれる。この時代のアメリカの社会・経済・文化状況に作曲家を位置付けたブックレット解説もまた過剰だが、勉強になる。(江藤光紀)心震わせる歌声で名実ともに今の音楽シーンを代表するソプラノの一人。待望のデビュー・アルバムにはレパートリーの中心であるイタリアとフランスのオペラ・アリアや歌曲を収録。「歌唱・容姿ともに理想のミミ」と絶賛された《ラ・ボエーム》に始まり、《トゥーランドット》のリューや《ファウスト》のマルグリートに《カルメン》のミカエラなど、可憐な舞台姿が目に浮かぶヒロインたちが大集合。ヴィヴァルディ作品や藤原歌劇団での初舞台だったヴォルフ=フェラーリ《イル・カンピエッロ》のガスパリーナも聴きどころ。盟友である指揮者の園田隆一郎のピアノ共演も理想的。(東端哲也)繊細で、凛とした空気感を漂わせる美しい音色が魅力の鮫島明子。前作の『モーツァルト ピアノ名曲選』ではその音色を最大限に活かした軽やかなピアニズムを聴かせてくれたが、今回はオール・ショパン・プログラム。美しさの中に晩年のショパンの苦しみや悲しみなど様々な心象風景を漂わせ、より作品との強い対峙を窺わせる演奏を繰り広げている。3つのマズルカの足取りの軽やかさには溢れるセンスが光り、舟歌や子守歌では息の長い歌い回しが心地よく響く。そして、ピアノ・ソナタ第3番と「幻想ポロネーズ」では、ショパンの中に蠢く様々な感情を鮮烈に描き出している。(長井進之介)これは心地よい1枚。音が伸びていくオーボエと、発音したらすぐに消えていくギター。ありそうでなかった組み合わせの妙は意外な発見だが、それを満喫できるのも、オーボエ池田昭子とギター福田進一、トップクラスの名手たちの親密でニュアンス豊かな演奏あってこそ。池田得意のイングリッシュホルンでのシューベルト歌曲は、謙虚な歌い回しに宿る深い情緒がすばらしい。この編成のオリジナル曲を残したコストとピルスの愛らしい佳品は美しく、グリーグ「抒情小曲集」編曲は新たな魅力を引き出すような練達の演奏。聴くほどに心が穏やかになっていく、懐深いアルバムだ。(林 昌英)CD
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