eぶらあぼ 2019.12月号
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47カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈 I 〉2020.1/29(水)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 https://www.hakujuhall.jp/カルテット・アマービレ(弦楽四重奏団) 室内楽の魅力伝える新企画、初回は大家2人を迎えて 取材・文:オヤマダアツシInterview 国内だけでも次々と登場する若い世代の弦楽四重奏団だが、2016年に「ARDミュンヘン国際音楽コンクール」弦楽四重奏部門で第3位および特別賞を獲得した「カルテット・アマービレ」も、注目したいグループだろう。現在のメンバーになってからわずか一年で同コンクールへ挑戦した彼らは、演奏はもちろん、プログラムのプレゼンテーションなども気になる存在だ。 中 恵菜(ヴィオラ)「弦楽四重奏は音楽のエッセンスが詰まったような編成で、追求すればするほど難しいと感じます。アマービレはどういうサウンドを目指していくのか、まさに4人で作っていく過程にあるのでコンサート一つひとつが重要です」 笹沼 樹(チェロ)「ミュンヘンのコンクールを受けたとき、集中して古典から近現代までのレパートリーを作り、それが現在のベースになっています。そこへさまざまな曲を柔軟に組み入れ、自分たちなりのプログラムを楽しんでいただけるように努めていますが、1月から始まるHakuju Hallでのシリーズは新しい一歩になるでしょうね」   その新シリーズ「BRAHMS Plus」では、文字通りブラームスの室内楽曲を軸としてプログラムが組まれ、アマービレにとっては大きなステップアップに、聴き手にとっては充実した室内楽の楽しみを得る企画になる。 篠原悠那(ヴァイオリン)「初回は霧島国際音楽祭ほか多くの場でお世話になっているチェロの堤剛先生と、グループの命名にもアドバイスをいただいたヴィオラの磯村和英先生をゲストにお迎えし、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番とシェーンベルクの『浄められた夜』を取り上げます。この4人で4~5年活動し、信頼や尊敬も含めていろいろなものを積み重ね、アマービレの音ができてきました。ですから、今の私たちを伝える演奏になるはずです」 北田千尋(ヴァイオリン)「お二人との共演だからこそ演奏したい曲ですし、ウェーベルンの作品も加え、アマービレはこういう団体だとアピールしたいと思います。私たちにとってもレパートリーを開拓するシリーズになるでしょうし、カルテットは人間の深みなどを教えてくれる存在だと思っていますので、たくさんの方に弦楽四重奏の素晴らしさを伝えたいですね」  Hakuju Hallという空間の中、音楽への思いを凝縮したようなサウンドで、ブラームスなどが新鮮に響くことだろう。アマービレ(=愛らしい)という名前が皆様の心へ届くことを祈って。 「バッハ(B)からコンテンポラリー(C)へ」。東京オペラシティの「B→C」に、加速度的に注目を集める駒田敏章が登場。2014年日本音楽コンクール優勝の明るくノーブルに響くバリトン。来年の新国立劇場《ジュリオ・チェーザレ》に起用され、以前はバッハ・コレギウム・ジャパンにも参加した経歴の持ち主なら「B」が軸になるのかと思いきや、ジョン・アダムズに始まりジョン・アダムズに終わる現代音楽プロ。「C」寄りに振りきった。本人が「本業」というロマン派ドイツ歌曲も封印。この人の守備範囲の12/10(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター  03-5353-9999 https://www.operacity.jp/©寺司正彦広さ、視野の広い研究心が推察される。 大きなテーマは「アメリカ」。アダムズ作品の間にネッド・ローレムやデイヴィッド・デル・トレディチという現代のアメリカ人作曲家、そしてコルンゴルト、ヴァイル、アイスラーと、アメリカに亡命した独墺系作曲家が対置される。さらにその真ん中には、少し視点を変えて、名ピアニスト、ブレンデルの詩による歌曲も。そして各セクションの境目にバッハという鮮やかなプログラム。現代曲といっても、調性から離れない美しい作品が多いのもスマートだ。共演はピアノの居福健太郎。左より:篠原悠那、北田千尋、笹沼 樹、中 恵菜東京オペラシティBビートゥーシー→C 駒田敏章(バリトン) “詩と音楽”という視点から時代を鮮やかに切り取る文:宮本 明

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