eぶらあぼ 2019.12月号
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172CDCDCDメシアン:ピアノ作品全集3/宮崎明はるか香シューマン:ピアノ五重奏曲 他/東京六人組J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2集/三膳知枝ヤマハのオト~奏でる匠のオト~Ⅲ/須川展也&ヤマハ吹奏楽団メシアン:8つの前奏曲、ニワムシクイ、シャロットの貴婦人(初稿版)宮崎明香(ピアノ)シューマン(東京六人組編):ピアノ五重奏曲/ブラームス(サミュエル・バロン編):ピアノ四重奏曲第1番東京六人組【上野由恵(フルート) 荒絵理子(オーボエ) 金子平(クラリネット) 福士マリ子(ファゴット) 福川伸陽(ホルン) 三浦友理枝(ピアノ)】J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2集三膳知枝(ピアノ)長生淳:交響曲第3番「四季連禱」/挾間美帆:Planned Work/天野正道:ファインディング・お江戸日本橋/メンケン:「美女と野獣」シンフォニック・メドレー/グレインジャー:デリー地方のアイルランド民謡(ロンドンデリーの歌) 他須川展也(指揮)ヤマハ吹奏楽団録音研究室(レック・ラボ)NIKU-9023 ¥2800+税オクタヴィア・レコードOVCC-00154 ¥3000+税コジマ録音ALCD-9201,9202(2枚組) ¥3400+税ヤマハミュージックコミュニケーションズYCCS-10079 ¥2700+税宮崎明香が意欲的に取り組むメシアンのピアノ作品全集第3弾。前作「鳥のカタログ」に続き、今回の収録曲にも宮崎の熱意が表れている。メシアンが8歳で作曲した、テニスンの詩に基づく「シャロットの貴婦人」初稿版を世界初録音したのである。昨年5月にフランス国立図書館で手稿譜を写譜した宮崎。大作曲家の音楽的萌芽に敬意を込め、丹念に再現する演奏。どんな作品かはぜひディスクで確認していただきたい。また、学生時代のメシアンが書いた「8つの前奏曲」の詩情に溢れた響き、鳥の声の超大作「ニワムシクイ」は圧巻である。メシアン作品の記念碑的な音盤の誕生だ。(飯田有抄)ソリストとして、オーケストラの要の奏者として活躍するスター・プレーヤーが結集した東京六人組、2年ぶり3枚目となるディスクはドイツ・ロマン派の室内楽。弦が管に置き換わることで、全体的にサウンドがまろみを帯び旋律もくっきり伸び伸びと歌う。シューマン(ピアノ五重奏曲)の第2楽章、ブラームス(ピアノ四重奏曲第1番)の第1楽章など短調の楽章では、それぞれの細やかな表現が夢幻、陰影を作り出す。各曲のフィナーレは開放的で明るいサウンド、歯切れのよい流れを生み出す技巧や息の合った表現で楽しませてくれる。まとまりも素晴らしいけれど、とにかく一人ひとりがうまい!(江藤光紀)例えば、第1番ハ長調の前奏曲の冒頭、2小節余にわたるC音のオルゲルプンクト。ズーンと底鳴りさせ、可能な限り響きを持続するのがチェンバロで弾く際の常で、モダン・ピアノならより容易くできるはずだが、三膳知枝はあえてそうしない。大事な上声が、かき消されてしまうからだ。常に鮮烈なアプローチに挑む実力派が、「第1集」の録音から2年を経て対峙した「平均律クラヴィーア曲集 第2集」。常に「モダン・ピアノならどう聴こえるか」を考え、各フレーズ、前奏曲とフーガ、24曲の関係性を精査。説得力に満ちた、しかし彼女にしか実現し得ぬ響きの世界を現出させた。 (寺西 肇)2020年に創立60年を迎える老舗吹奏楽団(職場バンドの最高峰の一つ)のオリジナル企画の第3弾。同楽団のために作曲&編曲された近作が並ぶ、他では聴けない内容だ。中でも長生淳の交響曲「四季連禱」は変化に富んだ充実作。挾間美帆と天野正道のジャジーな作品も凝っていて愉しい。演奏はむろんハイクオリティ。表情の豊かさには特に感心させられるし、天野作品における常任指揮者・須川展也の縦横無尽のサクソフォン・ソロにも魅せられる。ボーナス・トラックの「デリー地方のアイルランド民謡」(ダニーボーイ)の美しいサウンドも高い実力の証明。 (柴田克彦)CD

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