eぶらあぼ 2019.12月号
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164真優のヴァイオリンでブルッフの「スコットランド幻想曲」、メインはドヴォルザークの第8番というプログラム(2020.5/16)。定期初出演が意外な印象の大植は、ベートーヴェンとチャイコフスキーの共に交響曲第5番という王道プロ(7/11)。フェルツはベートーヴェン生誕250年にちなみ、ピアノ協奏曲ニ長調 op.61a(作曲者本人によるヴァイオリン協奏曲からの編曲版)という珍しい曲を取り上げる(8/22)。他にも、15年の作品で日本初演となるジャズ・トランペットの巨匠ウィントン・マルサリスによるヴァイオリン協奏曲を、同楽団首席ソロ・コンサートマスターの石田泰尚が演奏する(21.2/6)。川瀬が「冒頭を聴いた瞬間に石田さんに弾いてもらいたい」と感じたという興味深い選曲だ。 また、全3回の音楽堂シリーズではモーツァルトをテーマにしたプログラムが組まれている。川瀬がタクトをとる21年1月の公演ではモーツァルト・シンガーズ・ジャパン(MSJ)との共演で《魔笛》(MSJ特別版)を取り上げる(2021.1/23)。自身が「神奈川フィルの《魔笛》は日本一」と自信を持って語るほど。聴き逃せない公演だ。 そして、20年は創立50周年を迎える神奈川フィルにとって節目の年。11月にはそれを記念した特別演奏会が催される(20.11/21)。演目は川瀬が「プログラム会議でずっと提案し続けてきた」という大曲、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」。14年の常任指揮者就任から7年目を迎える来季、オケとの関係もますます深まってきており充実したシーズンとなりそうだ。神奈川フィルハーモニー管弦楽団https://www.kanaphil.or.jp/■読響が2020/21シーズンプログラムを 発表 読売日本交響楽団が2020/21のシーズンプログラムを発表した。常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレ、首席客演指揮者山田和樹、指揮者/クリエイティヴ・パートナー鈴木優人の3人体制での最初のシーズン。ドイツの“王道プロ”を基本としながらも斬新さを加えた充実した構成となっている。 常任指揮者に就任して2年目となるヴァイグレは《リエンツィ》序曲、楽劇《ワルキューレ》第1幕(独唱:ジェニファー・ホロウェイ、ペーター・ザイフェルト、ファルク・シュトルックマン)など、得意のオール・ワーグナー・プロ(7/14,7/16)をはじめ、R.シュトラウスの交響詩「マクベス」とヒンデミットの交響曲「画家マティス」(21.1/19)、話題の新進ピアニスト藤田真央を迎えてラフマニノフのピアノ協奏曲第3番とチャイコフスキーの交響曲第4番(21.1/14)など重量級の選曲を用意。オペラとコンサートの両輪で活躍するマエストロの音楽づくりを満喫できそうだ。 山田和樹も、ウェーベルン「パッサカリア」とグラズノフの交響曲第5番に別宮貞雄のヴィオラ協奏曲(独奏:鈴木康浩)という選曲で独創性を発揮(21.3/4)。読響に新たな魅力と可能性をもたらすことを期待される鈴木優人はシューベルトの交響曲第4番「悲劇的」とベリオ「レンダリング」などを披露する(20.5/13)。 客演指揮者の公演についてもシーズン開幕を告げる、ブルックナー・ファン待望のマリオ・ヴェンツァーゴによるブルックナーの交響曲第3番(4/8)、前常任指揮者(現桂冠指揮者)シルヴァン・カンブルランによる細川俊夫「瞑想 -3月11日の津波の犠牲者に捧げる-」とヴァレーズ「アルカナ」(6/9)、フランソワ=グザヴィエ・ロトでマーラーの交響曲第7番「夜の歌」とモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番(独奏:佐藤俊介)(10/16)など多彩な内容だ。読売日本交響楽団https://yomikyo.or.jp/■新日本フィルが2020/21シーズンプロ グラムを発表 新日本フィルハーモニー交響楽団が2020/21シーズンの定期演奏会プログラム速報を発表した。音楽監督の上岡敏之は、ブルックナーの交響曲第8番で開幕を飾る(2020.9/3,9/6)。そのほか、ドビュッシー「海」やプーランク、デュカスの作品を組み合わせたフランス・プロ(10/30,10/31)、旬のソリストを迎えてのマーラーの交響曲第4番(独唱:砂川涼子)とモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」(独奏:バイバ・スクリデ)(21.4/8)など注目の公演が続くが、特筆されるのは21年5月のJ.S.バッハ「ミサ曲ロ短調」(5/14,5/15)。19/20シーズンもモーツァルト「レクイエム」を取り上げるなど、合唱つき作品にこだわりを見せている上岡だが、バッハへの取り組みは、就任5シーズン目となり楽団員との関係が深まる中での、マエストロの新たなチャレンジとも言えそうだ。 客演陣では、シャルル・デュトワの登壇が話題を呼ぶのは必至。ベルリオーズ「ロメオとジュリエット」で、久しぶりに東京の音楽ファンにどんな壮大なサウンドを聴かせてくれるのか、注目が集まる(独唱:加藤のぞみ、青山貴ほか)(20.9/18,9/19)。そのほか、ソフィ・ジャナンによるヘンデル「メサイア」(11/28)、ダニエル・オーレンによるヴェルディ「レクイエム」(21.7/30,7/31)と、海外からの客演指揮者たちも合唱作品を取り上げる。また、先日ブザンソン国際指揮者コンクール優勝の快挙を成し遂げた沖澤のどかが、ビゼー「カルメン組曲第1番」、ラヴェル「ボレロ」などを振る(20.9/11,9/12)。ベートーヴェン・イヤーを迎えるシーズンだけに、ベートーヴェンの交響曲もルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉や特別演奏会などで、全9曲が取り上げられる予定となっている。新日本フィルハーモニー交響楽団https://www.njp.or.jp/

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