eぶらあぼ 2019.12月号
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162んだんに盛り込まれた「東京・春・音楽祭2020」への期待がますます高まる。取材・文:飯尾洋一東京・春・音楽祭https://www.tokyo-harusai.com/■第18回フリデリク・ショパン国際ピアノ コンクール記者会見 ショパンの故郷、ポーランドの首都ワルシャワで5年に一度開催されているフリデリク・ショパン国際ピアノコンクール。同コンクールは世界中に数多く存在する国際ピアノコンクールのなかで、最高峰に位置づけられる。1927年に創設され、来年は第18回を迎えるが、10月9日にポーランド大使館でその概要が発表された。 スケジュールは、参加申し込みが2019年12月1日に締め切られ、2020年4月17日〜28日に予備予選が行われ、本大会は同年10月2日〜23日に予定されている。参加申し込みは1990年〜2004年に出生したピアニストならばだれでも出場可能。コンクール公式サイト上の参加申し込みフォームで申し込む。課題曲に関しては予備予選から本選まですべてショパンの作品が選ばれ、そのなかから選択する自由が与えられている。 審査員はドミトリー・アレクセーエフ、マルタ・アルゲリッチ、サ・チェン、カタジーナ・ポポーヴァ=ズィドロン、ダン・タイ・ソン、海老彰子、ネルソン・フレイレ、フィリップ・ジュジアーノ、ネルソン・ゲルナー、アダム・ハラシェヴィチ、クシシュトフ・ヤブウォンスキ、ケヴィン・ケナー、ヤーヌシュ・オレイニチャク、ピオトル・パレチニ、エヴァ・ポブウォツカ、ジョン・リンク、ヴォイチェフ・シュヴィタ■東京・春・音楽祭2020 概要発表 10月28日、東京文化会館にて、「東京・春・音楽祭2020」の概要発表記者会見が開かれた。16回目の開催となる今回は3月13日から4月18日までの5週間強にわたって200を超える公演が開催される。 音楽祭の開幕を飾るのはリッカルド・ムーティ指揮東京春祭特別オーケストラによるヴェルディの《マクベス》(演奏会形式)。前回に引き続き、巨匠ムーティによる「イタリア・オペラ・アカデミー」も開催される。音楽祭の柱ともいえる「東京春祭ワーグナー・シリーズ」は、マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団による《トリスタンとイゾルデ》(演奏会形式)。毎回ワーグナーをとりあげてきた同シリーズだが、これで主要作品は一巡することになる。 また、昨年話題を呼んだ「子どものためのワーグナー」でも、同様に《トリスタンとイゾルデ》が題材となる。こちらはバイロイト音楽祭提携公演で、独自の編曲によって上演される子ども向けバージョン。小学生でも楽しめるように工夫が凝らされているという。 「前回の《さまよえるオランダ人》では、子どもたちは予想以上に集中して舞台を観てくれた」(鈴木幸一・同音楽祭 実行委員長) また、今回より新たに読売日本交響楽団の演奏により「東京春祭プッチーニ・シリーズ」がスタートする。第1回となる今回は《外套》《修道女アンジェリカ》《ジャンニ・スキッキ》の「三部作」がスペランツァ・スカップッチ指揮のもと、演奏会形式で上演される。 これら大型公演をはじめ、ヤノフスキ指揮東京都交響楽団によるベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」や、恒例のミュージアム・コンサート、数多くの室内楽企画など、多彩な公演が並ぶ。 「次の10年、20年も視野に入れて、毎年新しい趣向を取り入れながら、音楽祭を発展させていきたい」と語る鈴木。定評あるシリーズに加えて、新企画もふ左より:ダニエル・チヒ(ポーランド音楽出版会社(PWM) 社長)、アルトゥル・シュクレネル(国立ショパン研究所 所長)、ヨアンナ・ボクシュチャニン(国立ショパン研究所)、クシシュトフ・ヤブウォンスキ(第18回フリデリク・ショパン国際ピアノコンクール 審査員)左より:銭谷眞美(上野の山文化ゾーン連絡協議会 会長/東京国立博物館 館長)、鈴木幸一、津村 浩(読売日本交響楽団 常任理事・事務局長)、二木忠男(上野観光連盟 会長) Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE

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